初めての自慰の記憶
記憶にある限り、私が初めて自慰らしきものをしたのは、幼稚園の頃です。
その場所は、今思うと驚きなのですが、自宅のベランダでした。
今は壊れてしまったその場所は、当時は洗濯物干しに使われていました。
母が洗濯物を干す横で、幼い私は手すり越しに近くの風景を眺めたり、オモチャで遊んだり。
ところが、そんなある日。
何がキッカケだったのか、何気なく柵と柵の間に座り、足をブラブラさせてみました。
ブランコに座るような気持ちで、両手で柵を掴んで。
ブランコと違うのは、足と足の間に、柵があるということ。
しばらくはそのまま景色を見て楽しんでいただのですが、そのうち妙なことに気付きました。
なんとなく、気持ちいいのです。足の付け根のあたりが……。
今思うと、足をブラブラさせることによって振動が起こり、柵と接している股間の部分に、刺激を与えていたのでしょう。
それに自分の体重が足の間にかかり、よけいに強い刺激を増していたのかもしれません。
もちろん当時は幼女でしたから、そんなメカニズムは知りません。
「自慰」という概念も知らなかった頃ですし。
ただ、なんとなく後ろめたいものを感じていました。
母が横にいるのに、不思議な気持ちよさを感じている自分に……。
それから私は、あの不思議な感覚が忘れられず、事あるごとにベランダの柵に座っては、後ろめたい心地よさを感じていました。
母は、まさか娘がそんなことを思っているとは、夢にも思わなかったでしょうが……。
これが一番古い、私の自慰にまつわる記憶です。
だんだんと進化する手段
そんな風に、初めて性にまつわる発見をした当時の私でしたが、もちろんその時はまだ、自分が何をしているのかは分かっていませんでした。
ただ、本能なのか
「人前でしてはいけない」
「両親に見つかったら怒られる」
という予感を、漠然と感じていたように思います。
あの行為が「いけないコト」だと、なんとなく知っていたのです。
そんなこんなで、そのうち幼い私はベランダではなく、布団の中で似たような行為をするようになりました。
最初にその方法を試した時のことは、正直よく覚えていませんが。
ただいつの間にか、布団の中で横たわり、手のひらを両腿で、ギュッと挟むやり方を覚えていました。
そのまま腿を微妙にくねらしていると、だんだんと下腹部が気持ちよくなっていくのです。
続けていると、やがてひと際気持ち良い瞬間がやってきて、やがて体中から力が抜けます。
なんともいえない、気怠くて心地よい、終わった後の気分……。
今思うと、小さいのにちゃんと「達する」感覚を味わっていたのですから、我ながら驚きます。
ともあれ、その気持ちよさに憑りつかれてしまった幼い私は、その後何年も布団の中で、家族の目を盗んで、その行為を続けました。
お昼寝の時間や、夜寝る前、またはお留守番で、家で一人の時などに……。
初めて知った、その行為の正体
そんな行動を何年か続け、私は小学校の高学年になっていました。
色々な本を読むようになり、その中には少しずつ、大人っぽい内容の物も混じるように……。
学校では性に関する基本的な知識も教わり、初潮や精通についても知るようになりました。
そして、本の中に散見される、大人っぽい表現の数々。
いつの間にか私は、それがぼかした表現であっても、「性交」だと理解出来るようになっていました。
そして同じように、自慰についても、知るともなしに知るようになったのです。
私が小さい頃からしていた行為は、そういう名だったのだと。
「オナニー」「マスターベーション」という単語を初めて見たのは、なんと父が持っていたゴルフ漫画の中でした。
なんとなくドキドキしながら、その単語を目で追ったものです。
ちなみに意味は、漫画の展開からなんとなく察しました。
よりによって、ゴルフ漫画から……我ながら、不思議な出会い方だと思います。
そして中学生になり、やり方は更に進化
中学生になると、漫画や小説から、一通りの知識は得ていました。
仲の良い友達と、こっそりその手の話をすることも……。
経験はなくても、皆興味津々なお年頃。
そして友人の話を聞いて、自慰のやり方は人の数だけある、と初めて気づきました。
今までは、下着越しにその部分に触れていましたが、直に触れても良いのだ!と、今更気付いたのです。
間抜けなようですが、それまでは本当に、その発想がありませんでしたから……。
ある夜、家族が寝静まった夜、こっそり自室で試みたことを覚えています。
お風呂に入った後で、手も綺麗に洗って……「汚い手で触ってはいけない」と、どこかでちゃんと考えていたのだと思います。
そして、初めて直に指を、その場所に挿入した時のドキドキ!そこが「膣」という名だと、保健体育の授業で習っていました。
最初は怖いような、不思議な気持ちでした。
自分の体の中に、自分の指が入っているのですから。
でもじきに慣れ、それに伴い、今までとは桁違いの心地よさを感じることに気付きました。
それ以来、私はずっと、直に指で自分を慰める方法をとっています。
ベランダで柵に座っていた頃を思えば、我ながら格段の進歩だと思います。