『秋雨の音を聞きながら』
あれは雨がしとしとと降る秋の夜のことでした。
当時小5だった私は、ベッドに入るもなかなか寝付けずにいました。
不眠の原因はお塾の成績。
今のままでは、バリバリの教育ママである母親の言う志望校には届きそうにないと悩んでいたのです。
そして、この悩みはそれ自体が成績低下の原因の1つにもなっていました。
そりゃあ、睡眠不足の状態で満足に勉強できるはずがないですよね。
しかし、寝ようとしても寝られないのでどうしようもありません。
時計を見ると午前3時10分頃。
私は何もできず、ただただじっと長い夜の時間を耐えていました。
『誰も見ないはずだった自由帳』
転機が訪れたのは午前3時45分頃のことでした。
私は思い切ってベッドを出て、学習机に向かうことにしました。
勉強するだけの気力はありませんでしたが、どうせ起きているなら何か自由なことをしたいと思ったのです。
何せお昼には完全に自由になる時間というものがありません。
学校のある時間帯には長めの休憩もあるし、遊べる友達もいるのでまだマシです。
しかしお塾の時間帯となると周りの子たちもストイックですし、休憩時間もほとんどないしで大変。
食事をしながら勉強なんてこともザラでした。
ともあれ私はその時、長らく使っていなかった自由帳にハルカというポケモンのアニメに出てくる女の子と、イーブイといううさぎときつねを合わせたようなポケモンを描きました。
しかも深夜のテンションもあり、わりとR-18な仕上がりに。
具体的な内容としては、ハルカとイーブイ♂がポケモン育て屋さんで交わって、ハルカがイーブイのタマゴを産むといったものだったと思います。
まあマンガの中でのことなので、内容がかなりファンタジーなのはご愛敬。
そしてそれをオカズにムスコをいじっているとそこから白いものが……
これが私の「初めて」です。
ハルカがタマゴを一生懸命産んでいるところに偶然精子が掛かったこともあり、ことさらにエロく感じたことを覚えています。
『後日談』
なお、これにはなかなかシャレにならない後日談がありまして。
散らかっている机の中にあるしどうせ誰も見やしないだろうと思っていた自由帳を、あろうことか母が発掘してしまったのです。
母はなかなかアブノーマルな内容にショックを受けたんでしょうね。
ある日私が学校から帰ってくると、キッチンで母が例の自由帳と共にものすごい顔で待っていました。
結局母はこれが不眠の原因だと考えたようで、私からゲームとTVの時間とその自由帳を取り上げたあげく、勉強中と夜の監視をさらに強化しました。
しかし、小学生とはいえ男子は男子。
そんなことで妄想を諦めるわけもなく、家で性欲を発散できなくなった私は今度は学校できわどい絵を描くようになりました。
例えばおぱんつが見えている女の子の絵とか、恥ずかしがりながらおしっこをしているグレイシアというポケモンの絵とか……。
無論こんなものを他の男子が放っておくわけもなく、ケータイなどを通じて全校に広がっていったそうです。
ところが。
頭の固い教頭がこの噂を聞きつけ、ついには親に呼び出しがかかる事態となりました。
えっちな私の絵がプリントされたものを前に、当然のことながら私の母親はガチギレ。
担任や校長や教頭自身が止めるのも聞かず、「おうふくビンタ」や「たたきつける」で私をボッコボコにしました。
その激しさたるやこれを隠れて見ていた私の友達が「ガブリアス(ドラゴンポケモン)のげきりん」と表現するほど。
無論そのまま病院送りとなりました。
しかし、当時の担任(男性)が絵の才能はあるんだからこういうものは隠れて書けと言い、学校に自由帳を隠す手助けをしてくださったのは幸いでした。
え?
お受験の結果?
それはご想像にお任せします……。