・入試の後で
高校3年の冬、僕は受験のために東京に来ていた。
入試後が終わり、ぐったりしたまま、ホテルに帰って来た。
もぞもぞベッドの上で動きながら、バッグに突っ込んだチラシを確認する。
大半が大学の門の前で配られていた予備校のチラシだ。
縁起でも無い、と、ゴミ箱に突っ込んだ時、ぽろりとティッシュが落ちた。
それはいわゆる――デリヘルの宣伝ティッシュだった。
電話をかけて予約をしてから、何度もキャンセルしようかと思った。
でも、怖さを興奮が上回った。
待つうちに、ふと、自分がシャワーを浴びていない事に気付いた。
慌てて洗い終えたところで、ドアがノックされた。
バスタオルを巻き付けただけでドアを開ける。
「あら、準備万端ですか?」
ドアの向こうには、想像よりも遙かに若く綺麗な嬢が立っていた。
・先輩はデリヘル嬢
「受験生?」
彼女は服を脱ぎながら尋ねる。
「なんで」
「私も一昨年受験生だったもん」
ゴミ箱の予備校チラシを指す。
大学生からデリ嬢?
「失礼な事考えてるな?これはバイト」
「そう、なんだ」
「童貞だよね」
「え」
「距離」
下着だけになった彼女がベッドに、僕はホテルのデスクの椅子に腰掛けていた。
「もっと近くに座りなよ。もったいないよ」
「う、うん」
隣に座った僕を彼女は抱き寄せる。
「ここから先は、特別サービス。内緒ね」
「なんで、そんな?」
「シャワー浴びててくれるような常識的なお客さんは、リピートして欲しいからさ」
僕の腰のタオルを、彼女が取る。
「して欲しい事言って。追加料金考えなくて良いから」
返事を待たず、彼女は僕のものを握り、皮をずらす。
「ふふっ、中まで綺麗にしてくれてる」
彼女が握ったものにキスをする。
瞬間、僕は射精していた。
「あ……」
あまりの早さに、僕は恥ずかしさで顔が熱くなる。
「私でそんなに興奮してくれてたんだぁ。嬉しい」
彼女は顔と手についた精液を軽くウエットティッシュで拭き取ると、残りを舐めて綺麗にしてくれる。
「ほら、すぐ元気。えらいえらい」
微笑む彼女に、僕はこみ上げてくるものが抑えきれなくなる。
そのままベッドに押し倒し、キスをしようとする。
「ゆっくり。歯がぶつかっちゃう」
顔を少し押し止められてから、彼女の方から唇を押し当てて来る。
半開きの歯の隙間から出た舌が、こちらの口の中に入って行く。
縦横無尽に弄ばれる口の中は、それ自体が陰部の結合のよう。
ひと休みに離れようとする唇を、僕は追いかける。
長い長いキスが終わり唇を離す。
「ちゅー好きなんだ?」
だらりと涎がこぼれ、糸を引いた。
・だいしゅきホールド生中出し
またキス、さらにキス。
「こっちもいっぱいしてあげる」
何度も唇に、それから首筋、胸、乳首では長めに。
「手コキは?」
「手は……」
「ふふ。いいよ」
彼女はパンツを脱ぐ。
愛液でぬめり、光っていた。
「あ、これ?」
視線に気付き、彼女の太ももが少し閉じられる。
「剃ってるだけ。あった方が良かったら、ごめんね」
「き、綺麗です」
僕は再び彼女をベッドに押し倒し、陰部に舌を這わせ、割れ目に舌先をねじ込む。
「嬉しい……」
舐め続ける僕の頭を撫でる。
「しゃぶらせるけど舐めたがらない人、多いんだ。汚いって」
口を離したあとのものを、彼女は広げて見せる。
「動画とかで見た事ある?ここだよ」
僕はデスクに置いたままのコンドームを取ろうとする。
「ちゃんと検査してるよ。そのまま、ね?」
導かれるままに挿入していく。
ぬるつき脈打つ圧迫感。
彼女の涎を流し夢見心地な表情が、とても可愛らしく思えて、キスをする。
口の中と下半身の感触が混ざって、全身がもぐりこんでいるような感覚に陥る。
そして、身体の奥底から湧き出すように、快感がほとばしった。
瞬間、彼女は僕を締め付けるように抱きしめた。
音を立てて唇を吸い、腰も脚にホールドされた。
亀頭の先に子宮口が吸い付いて精子を呑み込んで行く。
抜かないままで長い間抱き合いもう一度中に注いでから、利用時間は終了した。
僕は受験に合格した。
大学で彼女と出会う事を期待していたが、結局その機会はないまま卒業をした。
あくまで大学での事だが。