『多忙な高校生活』
俺は大阪のとある高校に通っていた。
そこは「文武両道」を是とする学校で、部活に、勉学にと気の休まる時間があまり無かった。
校則自体はとてもゆるく、また服装などの縛りもあまりないので(さすがに金髪はダメだけど)その点は良かったけれど、逆に言えばそれほど校則がゆるくても秩序が保たれてしまうくらいに忙しい。
なので大学進学率は周りの高校と比べて頭一つ抜けて高く、また部活もわりとハイレベルだった一方、たくさん遊びたいだとかがっつり恋愛したいという人にとってははっきり言って向いていない。
実際、恋愛をしている人は周りの高校と比べて少なかったように思う。
ところが、俺はそんな中でも彼女がいた変わり者だった。
相手は小学校・中学校では一緒だったが、違う高校に進んだ子。
つまりは小さい頃からずっと恋人同士だったのだ。
しかもお互いの家が近いという点もかなり都合が良かった。
会おうと思えば学校の影響力のない場所でお金をかけず簡単に会うことができたのだ。
『他の子もやってるんだし……』
そういった事情もあって、俺は彼女と一緒に宿題をしたり、一緒に地元で遊んだり、お互いの家でのんびりしたりといったことをよくやっていた。
部活の繋がりも良いものではあるが、学校が違うがゆえに話しやすいこともあるものだ。
その1つが恋愛について。
俺の学校では「恋愛に現を抜かすなんて腰抜けだ」というような雰囲気さえあったが、彼女の学校では「たった一度の高校生活に恋愛をしないのはもったいない」という雰囲気だったらしい。
なので俺の学校ではなかなか聞くことができない、他のカップルは普段どうしているだとか普段どこで遊んでいるだとかそういった話を聞くことができた。
中でも気になっていたのが「他のカップルはどれだけえっちなことをしているのか」といったこと。
この「えっちなこと」にはキスだとか手を繋ぐだとかそういったことも含まれていた。
今思えば初々しくて微笑ましい。
とはいえ、若い2人がそれを突き詰めていくと結局はセックスにたどり着くものだ。
『手探りの初めて』
高校生に子供を育てられるだけの責任能力は無いが、異性とくっつきたいという願望は大人と変わらないというのはなんと難儀なことなのだろう。
とはいえ、一時の欲望で彼女を傷つけるわけにはいかないと考えた俺は、安全日にちゃんとゴムをつけてセックスをすることにした。
当時の俺は、それだけやれば完璧だろうと考えていたのだ(実際には妊娠の可能性は0にはならないのだが)。
また、インターネットであれこれ調べて前戯はこう、挿入後はこうといった予定までしっかりと立てた。
それだけ彼女との「初めて」を良いものにしたかったのだ。
だが、実際にはそこまでスムーズに事は進まなかった。
まず、女の子の身体というのは俺が思っているのと違う反応を起こすことがよくあった。
というより、生で女の子の下半身を見たのはその時が初めてだったのだ。
彼女を痛がらせてしまったり、彼女があまり反応しなかったりということに前戯の段階から苦戦した。
しかし、試行錯誤を繰り返すうちになんとか気持ちよくなるポイントを見つけ、そして挿入にまでこぎつけた。
男の身体というのは便利なものだ……なんせ女の子を見ただけで気持ちよくなれるんだからな。
一方、彼女の身体は感じるのには長い時間がかかった。
なので俺は30分くらいは正常位で彼女と交わったと思う。
それで彼女はコツをつかみ、ついに初めて絶頂を感じることができたようだった。
そしてその時、同時に俺も射精を始めた。
右手に出すのとは違う、ふわっとした感覚の中で出すのが当時の俺にはとても不思議で新しい体験だった。
なお、俺たちはこの時と同じように、その後もしばしば彼女の家や俺の家でセックスをした。
避妊はちゃんとしていたが、確実な避妊方法なんて基本的にはないので(一応ピルがそれに近いが、負担が大きいし医者も快く出してくれない)高校生同士でヤるならそれなりの覚悟はした方がいいのだろう。
……とはいえ、理性というものは結局は本能には勝てないものなのだが。