『キッカケ』
学生の頃、運動部に入っていて男勝りだった事もあって、女の子なのに女の子によくモテていました。
自分でもちやほやされるのはまんざらでもなかったし、人に好かれる事はとても嬉しかったです。
そんな時、私が出会ったのはA子ちゃんでした。
A子ちゃんはとある会社の社長令嬢で、とても優しく穏やかな子でした。
私とA子ちゃんは、同じ地方のサークルに入っていて、その中でとても気が合い、一緒に居るようになりました。
そのうち、私はA子ちゃんの事がとても大切だと思うようになり、A子ちゃんも私の事を「好き」「あなたはとても特別な人だよ」と、毎日のように言ってくれるようになりました。
私達は友達以上で、恋人未満の関係でした。
『彼との出会い』
ある日、体調を崩していたA子ちゃんは、それでも無理をして私に会いに来てくれていました。
ですが調子を崩してしまい、迎えの人を呼ぶ事に。
その時家に来た人は、不思議な人でした。
和服を着てとても大きいのにすらっとしていて、爽やかだけどどこか影があるような。
私はその瞬間、迎えに来た彼に恋をしました。
後々聞いたところ、彼はA子ちゃんの父の会社で働いていて、仕事の補佐やA子ちゃんの面倒を見ているのだとか。
その日はそのまま軽く挨拶をして別れました。
『二度目からの日々』
次の日、彼が家に訪ねてきました。
驚きながらも話を聞くと、A子ちゃんは体調を崩したまましばらくは会えないということ。
私が家に一人でいる事の多い家庭なので、彼に様子を見に行くように任せた事。
私はそこまで想ってくれたA子ちゃんに、とても申し訳なく思いました。
私は何より、彼とまた会えた事が嬉しかったから。
彼は思いの外寡黙で、ただじっと私を眺めている事が多かったです。
私は話す事が好きだったので、ただ取り留めのないような話を彼に話続けました。
一か月も経ったある日。
彼はA子ちゃんの具合がよくなってからも、私の家に来ていました。
その頃にはかなり打ち解けたのか、「お前は面白いやつだ」と頻繁に言うようになり、私も彼に好かれてきているのでは?と嬉しくなりました。
ある日。
「寒いから布団でお話しよう」と、私は慣れたように布団に入りました。
彼は特に躊躇することも無く布団に入ると、そのまま腕枕をしてくれて。
あまりの躊躇の無さとその腕の逞しさや暖かさに、「Bさんってモテるよね」と言ってみると彼は「まあ女に困った事は無いな」とあっさりと言いました。
その言葉になんだか少しむっとして、胸元をなぞるとぞくりとしたように身じろぎして、「何だ?」とくすっと笑いました。
その笑い方がとてもセクシーで、余計に気持ちを抑えられなくなって触ろうとすると、彼は私の手を取ってそっと口付けました。
じっと目を見つめて「抱いてもいいのか」と小さく呟かれて、恥ずかしさで涙が出そうになりながら頷きました。
瞼をそっと舐められ、深く口付けて、首に、体に、キスを落としていかれる度に熱くなりました。
何より男の人にこんなに体を触られるのは初めてで、気持ちよさと熱さで泣きそうになってばかりでした。
そのまま触れ合い、最後まで身体を重ね、私の初体験は終わりました。
彼はあの後毎日「好きだ」、「愛してる」と言ってくれるようになり、私たちは心も重ねる事になりました。