『幼馴染と自分』
中学生の俺には、幼稚園の頃から家族ぐるみで付き合いのある幼馴染がいる。
小学校に通いだしたときは、当然の様に手をつないで学校に行っていたし、俗にいうお泊り会と言ってお互いの家で遊んだり、一緒にお風呂に入ることもあった。
それが小学校の6年の時に、友達にからかわれたこともあり、なんとなく一緒に遊ばなくなった。
幼馴染は幼馴染で女友達と女子らしくキャッキャとじゃれあうようになったし、俺は俺で男友達とつるむ様になって、中学に上がった時には学校内で目を合わせても、どちらともなく目をそらすようになった。
2年生になり久しぶりに同じクラスになったが、特に話すこともなく、そのまま2学期を迎えた。
漫画だったら、お互い異性に人気があって、そんな相手のことを好きで・・・という話もあるかもしれないが、幼馴染はおそらく部活の先輩の事が好きなようだった。
俺は・・・正直好きな人は浮かばない。
男同士で遊んでる方が楽しかったし、それなりに女子に対して意識することはあって、身体はもちろん反応するが、「彼女が欲しい!」と思う事はあっても、「〇〇と付き合いたい!」という事は無かった。
『10月、意外と人は周りを見ていない』
10月、冬服に半分くらいが変わってきた頃、俺は一度家に帰ってから再度学校に登校した。
明日は自分の苦手な英語のワークの提出日だったが、なんと全く手を付けていない上、学校に忘れてきてしまった。
本来学校への再登校は禁止だし、どうしても再登校したい時は学校に連絡を入れないといけなかったんだけど、まだ最終下校時間まで1時間半くらいあったので、運動部の掛け声が聞こえる中、教室に向かった。
教室に上がる階段で幼馴染とすれ違い、向こうは女友達と騒いでいた。
どうやら幼馴染は自分の好きになった先輩と付き合うことになったらしいことと、今日はその先輩と一緒に帰る約束をしているということが分かった。
「へ~。」と思いながらも、あまり聞いてはいけない話のような気もして、少し足早に教室に向かった。
教室のカギは空いていて、いつも通り俺は自分の机に向かった。
机の中には目的の英語のワーク以外に資料集や教材があったが、英語のワークだけ取り出しカバンに入れた。
窓は完全に締め切られ、カーテンも閉まっていた。
外でおそらく女子バレー部の掛け声がうっすら聞こえていて、なんとなく一人の教室を味わいたくなり、カーテンの中に入って窓を開け、ぼんやり中庭で行われている女子バレー部の練習を見ていた。
同じクラスにも女子バレー部のやつがいたらしく、そいつは俺の姿に気づくと、なんでこんな時間に教室にいるんだろ?という様な顔をして、すぐに練習に集中していた。
思ったよりも気持ち良い風が入り、練習風景を見ていた俺の目線は空の雲に移動した。
そんな時、聞きなれた話し声が耳に入り、ドアが閉まって鍵が閉まる音がした。
「ユウキちゃんは彼氏いたことあったの?」
「いや、ないですよ!!だから先輩からokもらったの今でも不思議で。」
ユウキとは、幼馴染の名前だ。
もしかしたら、この教室に他の人がいることに気づいていないのかもしれない。
カギも閉めてたみたいだし、付き合いだして二人で話したくなってこの教室を選んだのだろうか。
もしかして、チューとかしちゃったりして?
ちょっとおもしろいことにならないかな~と思いながら、そのまま俺は動かなかったし、声もかけなかった。
『幼馴染は女だったらしい』
先輩と話をする幼馴染は、いつもの声よりも少し高い気がする。
やはり、よそ行きの声?ということだろうか?
など思いながら、幼馴染の秘密を握ったような気になりながら、いつ自分に二人は気づくだろうか?とニヤニヤしながら目線だけ空に向けて、二人の会話に集中していた。
「ユウキちゃんさ、実は意外と胸、大きいでしょ?」
「え!?・・・いや、どうでしょうね?」
(いきなりとんでもないこと言い出したぞこのカレシ。確かにそれは俺も思ったことあったけど、付き合いだしたばっかりの彼女に言うセリフなのか?)
「ちょっと触ってもいい?あ、服の上からでいいよ?」
「えと、は、はい・・・。」
(まじか!?いいの!?)
「あれ?やっぱ緊張する?」
「そりゃ、そうですよ・・・。」
幼馴染の恥ずかしそうな声が聞こえてくる。
(え?今触ってんの?これは、本当に出ていけなくなっちゃったんだけど。っていうか、人の気配くらい察してくれよ・・・。)
「じゃあ、ユウキちゃん。中、手、入れていい?」
(ちょっと待て!?いや、付き合いだしたばっかなんだよね!?え、このカレシ先輩遊んでる人なのか?遊んでる人でもこんなの相手が引くんじゃないの??)
「うえぇ?な、なんも面白いものは無いですけど。あんまりめくらないでくれるなら。」
「やた。じゃ、入れまーす。」
「つべた!」
「あ、やべ。あったけ~。」
(う・そ・で・しょ??)
この時には俺は自分が見つからないかヒヤヒヤしていた。
こんな所で見つかったら変態まっしぐらだ。
しばらく二人の声は聞こえなかったが、時々幼馴染の吐息みたいなものが漏れ出ている。
(やっば。コレえろくね?)
カーテンの向こうで幼馴染が男に乳もまれている。
(そんなん、俺どうしたらいいわけ?)
なんとなく下半身に熱がこもるのを感じながら、息をひそめていた。
「ひゃう!?」
幼馴染の色気たっぷりの声が響く。
「先輩、そそ、そこは、き、汚いですよ。」
「え~?大丈夫だよ。ユウキちゃんだって、俺とこういうことしたくて、クラブ終わったら少し話したいって言いだしたんでしょ?」
「それは・・・」
(これって、もしかして、スカートの中に手を入れてる!?そして、パンツの中にも手入っちゃってませんか!?)
ちょっとするとグチュグチュと水気の粘る音が聞こえてきて、さっきとは比べ物にならない俗にいう喘ぎ声が聞こえてきた。
俺は見つからない様にという思いから全く動こうとはしていなかったが、もう我慢できない。
(アイツのエロイ顔、見たい。)
そろ~っと振り返り、カーテンのふくらみの端を掴んで自分の手が見えなくなるように巻き込む。
隣のカーテンも掴んで隙間を作り、教室を後ろから前にスライドさせていく。
「・・わ・・・」
つい声が漏れてしまったが、二人はそんな小さな音なんて気づいていない。
カーテンの向こうでは、ちょっと背が高めの先輩が前のめりに自分の下半身を幼馴染に制服越しにこすりつけていて、幼馴染は前の机に手を付けながら、一応制服は身にまとっているも、上はめくれあがってブラが見えているし、そのブラの中に先輩の手が入っており、胸をもみながら乳首を人差し指でグリグリと刺激している。
先輩の反対の手で、スカートの中に上から手を入れて、幼馴染の多分パンツの中に手を入れていて、スカートのせいでどの様な動きをしているかは分からないが、多分グチュグチュという音から、パンツの中をいじくっているんだろう。
幼馴染は耳や首まで真っ赤になりながらも、机についていない方の手は先輩のズボンを握りしめていて、声にならない喘ぎ声を響かせながらも、瞳は未知の快楽によりどころを求めているように見えた。
『その後の幼馴染』
そのまま先輩カレシが制服のベルトを外そうとした時、廊下から声が聞こえた。
「誰か教室にいるのか?」
学年主任の先生の声にビクリと跳ね上がった二人は、慌てて制服を整えて、先生が通り過ぎた瞬間に後ろのドアから飛び出していった。
「こら!?お前らなんだ!?」
学年主任の先生が後ろのドアから教室の中を見て、俺と目が合った。
「お前だけか?さっき誰か出てったよな?」
「え、いや、多分俺だけですけど・・・。」
「そうだったか?」
思ったよりもスムーズに先生をごまかして、ワークを取りに来た旨を伝えて、俺は教室を出た。
そして、そのまま昇降口に向かわず、真っ先に男子トイレに向かった。
翌日、幼馴染が友達と相変わらずキャッキャと話をしている。
時々数人で頭を突き合わせて、「キャー!!」と叫んでいる。
昨日の話をしているのかわからないが、多分そういうことなんだろう。
その日幼馴染は時々ぼんやりとしていた。
2回ほど急に顔を真っ赤にして、両手で顔を覆ってごまかしていた。
その手の隙間から見える瞳はうっすらと濡れていて、その日俺は男子トイレに5回は入った。