【プロローグ】
僕は大学生の頃、学生会に入っていた。
体育委員会。
役職は企画長。
献血イベントやスポーツ大会主催、時には書類の書き方などのトレーニングを行ったりしていた。
これらの企画を実施する為には、予め企画会議にて企画書のプレゼンを行い、各委員会の委員長に承認を得なければならない。
そこに彼女はいた。
代議委員、委員長。
学科は違えどお互いに学生会室には頻繁に出入りしているので、顔は知っているし、2人でドライブに行った程の仲ではあった。
正直、僕は一目見た時から気になっていた。
【連れ込み】
ようやく企画会議が終わった。
あとは、飲み会だけだ。
世代交代の義。
山間にある学生街から会議を行うキャンパスがある市内まで車で1時間。
農学部である僕や彼女は山間にあるキャンパスで授業を受けているので、企画会議がある毎に市内まで行かなければならない。
すでにいくつか企画を実施しているのだが、実はまだ正式には企画長ではない。
この飲み会を持って正式に企画長になる。
しかも、この飲み会は横の繋がりも大切にということで、学生会全体で行うので当然ながら彼女も来る。
まあ、この時点ではまだ彼女ではないのだが。
ワゴン車を所有し尚且つお酒を飲めない僕は、車を出して送迎係だ。
飲み会も無事に終わり、2次会へ行く者、帰る者と散り散りになっていく。
僕の車に乗ってきたメンバーは2次会参加組だったので、帰りは彼女の所属する代議委員会のメンバーを乗せて帰路につくことになっていた。
皆を乗せ、走り始めてすぐに日頃の疲れか、飲み会疲れか、皆目がトロンとしている。
彼女もまたしかり。
彼女は委員長らしく「私は最後でいいよ」と言ったので、他のメンバーを先に自宅まで送って行く。
さあ、残りは彼女だけだ。
僕は彼女の自宅にはいかず、自分の下宿へ向かう。
「どこに行くの?」彼女は少しとぼけたような期待しているような甘い声でそう聞いてきた。
だが、僕は「うん」とだけ答えてそのまま自分の下宿の駐車場に車を止める。
【相思相愛】
「今日は泊っていきな」彼女は素直に従い、僕の部屋へ入っていく。
しばらくは、今日の企画会議はどうだったか、飲み会では気を使って疲れただとか、他愛もない話をしていたのだが、だんだん話題もなくなり沈黙が続く。
沈黙に耐えかねて僕は「寝ようか」と彼女を布団へと誘う。
もうあとはやることは一つだ。
僕も彼女も初めてなわけでないから段取りはわかっている。
僕はキスをしながら彼女に話しかける。
「ちょっと前から気になっていたんだ。けど、なかなか機会がなくて」
「私も。正直、ドライブ行ったのも付き合えたらと思って。けど、その時は結局何もなかったけどね」
ふふふっ、とお互いに両思いだったことが分かり、安心したのか笑みがこぼれる。
そのまま彼女の唇に自分の唇を重ねていく。
ちゅっ、ちゅっ、と唇を吸い、喘ぎ声が漏れだしてきたら舌と舌を絡めてディープキス。
「ああっ」そのまま胸や乳首、脇の下、太ももやマンコを丁寧に舐めていく。
「んあはぁん」喘ぎ声がよりいっそう大きくなり、マンコからは厭らしい汁が漏れすでに布団を濡らしていた。
「入れるよ」「うん。来て」彼女は大きく股を広げ、僕のペニスを受け入れる。
「はあああっ」僕の吐息と彼女の吐息が混ざり合う。
ぱんぱんぱん。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぶちょ、ぶちょ。
僕が突いて、彼女が腰を振って、バッグで突いて、汁が飛んで。
「はあ、はあ、はあ」お互いの荒い息遣いとペニスを出したり入れたりする時の卑猥な音、マンコとペニスが擦れるハーモニーが二人を絶頂へと導いていく。
「んはああああああ、もうだめ」「僕も」ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん、ぴゅっ、ぴゅっ。
きゅん、きゅん、ひく、ひく。
どくっ、どくっ。
彼女の中に僕のありたっけの愛情を注ぎ込んだ。
「もう、できたらどうするの?」いたずらっぽく聞いてくる。
「育てよう」「何その普通の回答」ははは。
そう言いながら彼女を優しく抱きしめる。
「好きだよ。さっき言ってなかったから」「私も」彼女を守るように少し強く抱きしめ、そのまま至福という光に包まれながら意識が遠のいていく。
【下着がない】
翌朝。
彼女より早く目覚めた僕は、少し彼女の寝顔に見入っていた。
モチモチの肌に少し厚めの唇。
暖かいのか少し顔に赤みがさしている。
委員長として後輩達に指導している彼女はそこにはなく、一人の女の子が安心しきった顔ですやすやと眠っている。
なんて愛おしいんだ。
普段の様子を知っているからこそ余計にそう思ってしまう。
彼女自体がそもそも人の上に立つような人柄ではない。
なぜ、委員長になったのか、よくわからないのだが、普段の彼女は周囲に気を配り、そのせいで自分が疲弊してしまうような人だ。
いつも不安そうな顔をして、これで大丈夫か、自分は間違っていないか気にしている。
そんな彼女がこんなに安らかな顔をして自分の隣で眠っているなんて、愛しても愛してもやまないくらい愛おしい。
自分の子供ができると、きっとこんな感じなんだろうな。
そういった感覚だ。
そんな寝顔を見ていたら、ちょっとからかってやりたくなってしまった。
散らかっている部屋。
僕がはぎ取った彼女の下着。
そうだ!僕は何を思ったのか、彼女の下着をつけだした。
そして、見えないように自分の洋服をその上から着る。
「う~ん、おはよ」彼女が起きだした。
「おはよ。よく寝れた?って、聞かなくてもよく寝てたね」
「ふふん、何だか安心してしまって・・・」
「・・・よろしくね」
「こちらこそ」
僕たちはまた抱き合った。
「今日は何もないし、温泉でも入りに行こうか?」
「良いね。瑠璃温泉がいいな」
「良いね。じゃあ、一旦、家戻って着替え持ってくるか」
「うん」
彼女は、のそのそと自分の服をかき集める。
「あれ?下着、そこらへんにない?ちょっと見当たらないんだけど」
僕はわざとらしく辺りをひっくり返してみる。
「無いよ。ごめん、昨日、脱がしたときにどっかいったのかな」
「う~ん、まあいいや。パンツ貸して」
「ええっ!?僕のパンツ履くの?」
「うん、ブラはいいけどパンツないと、なんか落ち着かなくて」
「まあ、いいよ」
引き出しからパンツを取り出して彼女に渡す。
洋服を着終わった彼女は「ひとまず、うちまで行こう」
僕は自分の着替えを準備し、「オッケー。じゃあ、行こうか」
隣部屋の友達からのひやかしを受け流しつつ、僕と彼女は車まで行き、エンジンをかける。
一旦、彼女の家に着替えを取りに行き、そのまま温泉に入りに行った。
僕は不覚にも彼女の下着を付けていることを忘れ、更衣室でそのまま脱ごうとしてしまった。
すんでのところで思い出し、トイレに行って服を脱いだ。
彼女はどうしただろうか?彼女も僕のパンツを履いているはず。
「おまたせ~」先に温泉から上がっていた僕は休憩所でゴロゴロしていた。
「朝から温泉、最高だね」
「そうだね」
「温まってまた眠くなってくるね」
ふふふ。
微笑ましい。
心の底からほんわかした気持ちになる。
だが、僕には言わなければならないことがある。
そう、下着だ。
いたずら心で拝借してしまっだけど、言うタイミングを逃している。
よし、言おう。
そう心に決めて口を開きかけた時
「このまま戻りたいけど、さっき後輩君から連絡来て委員会しないといかんくなった」
「そうか。わかった。大学まで送って行くよ。帰りも連絡ちょうだい」
「ありがとう~愛してるぞ」
もうバカ丸出しだ。
彼女が先に話をしてしまったおかげで、下着ドロボー告白のタイミングを逃してしまった。
まあ、また今度言おう。
「よし、じゃあぼちぼち帰るか」
僕たちはそのまま大学へ向かった。
【下着を盗んだのは?】
あれから僕たちは卒業と同時に疎遠になってしまった。
最後まで仲はよかったなあと改めて思い返してみても強く思う。
きっと、彼女もそう思っているに違いない。
最後は、お互い忙しくて会う時間もなかった。
もう少しでいいから時間があれば、今でも彼女と一緒にいたのだろうか、と少し夢想する。
あれから僕は畜産企業で、彼女は実家の農家で働いている。
今、僕の手に握られている下着を見ると、彼女と過ごした日々が鮮明に蘇ってくる。
そういえば、僕の下着も帰ってこないままである。