・自慰という言葉を意識した時
私がまだ中学生の頃に、いわゆる性教育を受けました。
ですが、男女の性行為に関する知識は曖昧で、具体的なことは何もわかりませんでした。
クラスのあちこちでは、セックスに関する話題で持ちきりになり、私も友達とどのような行為なのか話しました。
女の子同士で、互いに男性の性器を見たこともなかったので、すべてが未知でした。
漫画で性行為の描写はありましたが、いわゆる挿入シーンはぼかされていて、男性が女性に覆い被さっているようにしか見えませんでした。
親にも、まさかそんなことは聞けずに、私はモヤモヤとした生活を送っていました。
そんななか、友達の1人がセックスというのは、男性の性器を女性の性器に入れることだと教えてくれたんです。
「そんなところに入るわけないじゃない」
「嘘じゃないって。お兄ちゃんに聞いたんだからっ」
ムキになる彼女に、私は笑いました。
だって、どう考えても入るわけがないからです。
そんな私に、彼女はあるビデオを貸してくれました。
それは、いわゆるAVだったのです。
「お兄ちゃんは、これを観ながらオナニーしてるんだって」
オナニー?私は、その言葉の意味もわかりませんでした。
すると、彼女は自慰のことだと教えてくれました。
「1人でエッチなことをするんだよ」
1人で?セックスさえよくわからない私は、自慰という言葉が気になって仕方がありませんでした。
・初めて観るセックス
友達から借りたAVで、私は初めてセックスというものを知りました。
画面の中では、下着姿の女性が、後ろから男性に抱きかかえられるようにされ、身体中を触られていました。
気持ち良さそうにしながら、女性は自ら下着を脱いで、そして、股の間に指を挿入したんです。
はっきり映っていたわけではありませんが、何となくそうだとわかり、私はかなり驚きました。
指を入れるなんて、想像もしていなかったんです。
『いけない子だね。自分だけで楽しむなんて』
男性が、優しく言うと女性の腕を掴み乱暴に動かしました。
『あんっ、ダメぇ。イッちゃう』
イッちゃう?イッちゃうって何が?その会話は、意味はわからなかったものの、おそらくエッチなことを意味しているのだということがわかりました。
やがて、男性があぐらをかいて、女性が向かい合うように腰を下ろしていきます。
『あんっ、んっ、あっ、あっ、はあっ、んっ』
女性がガクガクと身体を震わせている映像が、かなりの間続きました。
私は、男女がどのようにセックスをするのか、この時に知ったのです。
そして、自分の下半身が今までと何か違う感覚になるのを感じました。
ムズムズするような、それでいてもどかしいような変な感覚です。
そこで、私はさっきの女性の行為を思い出していました。
自分の指を入れて、気持ち良さそうにしていた光景。
同じことをすれば、気持ち良くなれるのだろうかという衝動にかられました。
・初めて自分に触れた日
初めて自慰行為をする時には、かなり緊張しました。
だって、トイレやお風呂以外で触ることがない場所です。
本当に触ってもいいのだろうかと、ドキドキしました。
下着の中に手を入れて、初めて触った自分のソコは、柔らかくプニプニしている感じでした。
でも、すぐに気持ち良くなったかというと、それは違いました。
(全然気持ち良くない)
これが私の感想でした。
(もう少し、奥なのかな?)
私は、指をゆっくり奥の方へと入れようとしました。
ですが、スムーズに入らず少し痛みもあったんです。
でも、指を引き抜くなんだかアソコがムズムズしてきて、変な感じが続きました。
私は、そのムズムズをどうにかしたくて、夢中で指を入れました。
すると、ある一ヶ所に触れた瞬間。
そこがたまらなく感じたんです。
指を離すと、トロッとした何かを感じました。
これが、快感というものだったということは、後から知りました。
私は、自分がとても大人になったような気持ちになりました。
それから、その日の夜は興奮して何度も指で気持ちよさを体験しました。
あの時に見たAVの光景を、何度も何度も思い出していました。
男性に抱かれ、気持ち良さそうに喘いでいた女性。
大きな胸を揉まれながら、気持ち良さそうな顔をしていました。
私は、自分の指を動かしながら、いつしかあの女優さんになったような感じでした。
自分の指なのに、まるで男性とセックスをしているような気分になりました。
言うなれば、疑似セックスのようなものです。
初めて自慰行為を経験した日から、私は女になったような気持ちになりました。
大袈裟ではなく、昨日までの自分とは何もかもが違うような気持ちになりました。
それと同時に、もう以前のような気持ちが変わるのが少し怖かったです。
たとえば、好きな同級生の男の子に対しても、淡い恋心のようなものですんだのに、自慰行為をした後は性的な意味で見てしまうようになりました。
好きな男子に抱かれている姿を浮かべながら、自慰行為をする時にはたまらない気分にさせました。