【妹・爆誕】
シングルマザーを押し通して来た母が再婚した。
銀行員だそうだ。
母親の経営するスナックの常連でそこそこの資産家。
まあ。
これで金に困る生活から一転してオレたちは新築の高層階のマンションに引っ越した。
新しい父親は大人しくて真面目で結構フレンドリーな性格だったから直ぐに馴染めた。
ーーーーいいコトばっかりーーーじゃなかった。
連れ子の鞠花を紹介されたときはビックらだった。
薄い色素の茶色い目に茶髪を左右におさげ髪が可愛らしい。
どちらかというと丸顔で透明感のある美少女だ。
如何にもいいとこのお嬢様タイプだ。
楚々として身のこなし立ち居振る舞いが上品だ。
「何年生?」
「二年です。同じ高校ですね。転校しましたの」
「はあ。じゃ。オレが兄貴で君は妹か。なんかオトナだね」
「そうでしょうか?」
「うん」
行き成り美少女と同居でしかも血の繋がらない妹ときた。
どうしていいやら勝手が解らない。
ラグジュアリーな部屋に上品な父と娘。
おふくろとオレは異質なカンジだった。
部屋にそぐわないし何でもがざつで大声で喋る。
まあ。
美人にはいるかもしれないおふくろももう40手前だ。
捨てられないよう頑張ってくれと背中を叩いたらガハガハ笑って大丈夫と請け合った。
【雨の日のラッキー】
その日の朝は晴天だったのに放課後の下校時刻に土砂降りの雨が降り出した。
オレはコンビニにあったぼろい壊れかけのビニール傘を失敬した。
どうせ誰も使わないだろう。
雨が傘を叩きつけ持ち手にも雨水が伝ってきた。
商店街を曲がってマンションまでの細道に入る。
早く帰ろうと速足になる。
あれ?
前にいるのって鞠花じゃね?
傘も無しで土砂降りの中を頭に鞄を載せてこれまた速足で歩いている。
「おい!おーい!!鞠花ちゃん」
振り返った美少女は泣きそうな顔でオレをみると立ち止まった。
「傘!!」
鞄よりはマシだろうとオレはビニール傘を三分のニの面積を妹の上に傾けた。
「ありがとう。助かります」
だがボロ傘は大して役に立たず仕舞でオレ等は家の中に着いた時にはびしょ濡れだった。
「あんま。傘意味なかったね。ごめん」
「いいえ。これ。タオルどうぞ」
ランドリールームからふかふかのフェイスタオルをオレの分まで持ってきてくれた。
「あ。ありがと」
「急な雨でしたね」
おさげ髪をほどいて長い茶色の髪の雫をタオルて叩くように拭いている妹。
マジかーーー気づいてない。
今日から夏服に変わった。
妹は小さな赤いリボンタイに白い半そでブラウス一枚だった。
白ブラウスが水を吸ったらどうなるでしょうか!?
『ぴったり肌に張り付いてブラジャーがスケスケになりますが正解!!』
オレはちらちらと妹のブラがピンクで小さな花柄だというところまで観察した。
少ない経験則から多分Dカップ位か。
躰は細くて小柄だから尚の事胸は大きく見える。
「は。はやくシャワー浴びたらいいよ。風邪ひくからさ」
「そうですね。では。お先にシャワー使います」
素直にバスルームに消えていった。
ふう。
溜息が出る。
血の繋がらない美少女が妹設定はキツイ。
どうしたって意識するだろ。
さっきのブラ可愛かったな。
アレか。
女子はブラに下も合わせるんだよな?
ショーツもブラとコンビネーションか?
漫画情報ではそんなカンジだ。
下のショーツも見たいという変質者的な欲求がむくむくと湧いてきた。
脳内が沸いてるぜ。
【なんかチャンス??】
その夜。
夕ご飯も済んだ頃。
N県の祖父ちゃんから電話がかかってきた。
脳梗塞で祖母ちゃんが倒れて病院へ緊急搬送されたという知らせだった。
丁度日曜日の夜だったから義理父と母はN県へ車で出かけることになった。
「泊りになるかもしれないから寝てなさい。もしもの時は仕方ないわ。あなたたちは明日は学校あるでしょ。大丈夫だって」
いや。
祖母ちゃんには悪いけどその時のオレは妹と二人の夜が大丈夫じゃない気がして焦っていた。
別に何か起こるとは思えないけど。
ちょっと違和感があった。
普通女子だったら雨で濡れたシャツ姿を男に見られてあんなに堂々としているものだろうか?
オレの視線はどうでも良かったのか。
なんとなく妹の知らない面を覗いてしまった気がした。
案外誘っているとか?
ないない。
両親を見送ると妹は自室に入った。
オレはパジャマに着替えて、落ち着かないまま広いリビングの大画面テレビでゲームをしていた。
ああ。
ノド乾いたなぁ。
「兄さま。わたしも眠れないの。ここに居てもいいかしら?」
「おう。どうぞ」
イタリア製のソファーセットはコの字でバカでかい。
二人座ろうが十人座ろうが一緒だ。
おおおおーーーー鞠花ちゃんはオレの直ぐ隣に座った。
「はい。オレンジジュース。どうぞ」
丁寧にコースターの上にグラスに氷とストローを差したものを置いてくれた。
「お。サンキュー」
ちょっと横に目を遣って仰天した。
妹はパジャマを着ている。
パジャマまで今日の衣替えに合わせたのか?
もこもこのタオル地の上はパステルピンクとグリーンの縞々で長袖でパーカーを被っている。
だが下は太腿が露わな超・ショートなパンツだ。
白い腿に青い血管の筋が走る、しっとりした陶器みたいな質感の肌だ。
眼が泳ぐ。
「あああ。惜しいね」
妹の腿に注視してしまったオレはあとちょっとの手前で負けたゲーム機を握りしめていた。
手に汗。
「ちょっと今。やってるかもしれないアニメ出していい?」
「おう。どうぞ」
リモコンを探すが無い。
ふたりがかりで探すも見当たらない。
ローテーブルには食い散らかしたポテチやお菓子の箱。
アイスのカップなんかが転がっていて汚いことこの上なかった。
「あ。あそこ」
鞠花がテーブルに左手をついて前のめりに上半身を延ばして離れたテレビボードの下に落ちているリモコンを拾おうとした。
「あ」
オレ様は後ろから妹の超・短パンからはみ出たショーツが意外に豊かな尻に食い込んでいるのをじっくり眺めた。
白とピンクのシマシマだった。
ちょっとサイズが小さめ??
胸もあるからお尻も大きいのかもしれない。
ベタに鼻血が噴き出でる前に「もう寝るわ~」と上の空に自分の部屋に入った。
ヤバい。
ヤバい。
ヤバい。
ああーーー写メに納めてオキタカッタなぁ。
その夜。
むっちりボディの鞠花が寝ているオレの身体におそるおそる乗っかってくる夢を見た。
目覚めたときも、胸の重さとか腿が擦りあう感覚が生々しく残っていた。
ああーーやったぁあ。
早朝からパンツ洗濯だぁああ。
キッチンの方で妹がガチャガチャやっている。
朝食を用意してくれているみたいだ。
オレはつくづくおのれの倖せを感じた。