『DO』
どの地域にも、一人か二人くらいはヤバいおっさん(おばさん)がいるものです。
そして私が中学時代を過ごした地域には「DO」と呼ばれるヤバいおっさんがいました。
DOとは泥棒おじさんの略。
それも女性の下着専門の泥棒です。
言うまでもなく泥棒は犯罪で、ましてや下着泥棒となれば罪の度合いはヤバいもの。
しかし当時のその地域の警察は、DOを捕まえませんでした。
DOの被害に遭った女性は少なくなかったうえ、警察に相談した人もいましたが、誰もDOが下着を盗んだという証拠を提出できなかったので、警察は動きようがないということでした。
今のようにAmazonなどで簡単に監視カメラが買えるような時代ではなかったのです。
とはいえ捜査しないんじゃ警察の意味がないんじゃないですかね……。
まあ、かくいう自分もDOの事件に関しては長らく無関心でした。
たぶん、男だから自分の下着は取られることはないという確信があったからでしょう。
しかし妹と母のパンツとブラが家から消えてから、それは変わりました。
当時厨房(中学生)だった私は、悪ガキ仲間と一緒にDOを締め上げることにしたのです。
『奇襲攻撃』
マンガやアニメでは、こういう変態の類はデブでハゲのくたびれたおっさんという描写がなされることが多いですが、DOは違いました。
デブでもハゲでもチビでもなく、知らない人が見たらただのサラリーマンといった塩梅。
ゆえに警戒もされにくかったのでしょう。
しかし、私たちは奴が下着ドロであることを知っています。
ただし、警察が動いてくれるよう上手く立ち回るだとか、警察に怒られないように動くだとか、そういった「大人の対応」を私たちは知りませんでした。
何より血の気の多い若者だった私たちはそういったものに惹かれませんでした。
私たちはDOをこっそりと尾行し、奴が下着を物色し始めたところで攻撃開始。
まずは悪ガキの中でも体格に恵まれている私と松尾がDOにタックルし、続いて素早さには自信がある斎藤がDOの後ろに回って後頭部を攻撃。
羽柴はいざという時の増援兼見張り役といった感じで、完璧に各々の役割をこなしつつDOを制圧しました。
『警察署へ』
奇襲攻撃は大成功!
言うまでもなく悪ガキたちはこの成果に大満足でしたが、そこは厨房。
残念ながら詰めは甘いものでした。
DOから水色のパンティーとレースのブラジャーを取り上げたところで、運悪くその持ち主の女性が出てきて110番通報。
しかも20代前半くらいでお胸がダイナマイトな彼女は、DOから取り上げたものを持っている私に襲い掛かってきました。
いや違うと言っても時既に遅し。
ガチギレバーサーカーと化した彼女はおそらく自身より体重が重いであろう当時の私を投げ飛ばし、松尾を引っ掴んで引き倒し、羽柴を蹴り一発で沈めました。
斎藤はその恐るべきオバタリアンから何とか逃げ切りましたが、運悪く前方からパトカーが出てきて御用に。
当然、私たちもDOと一緒に御用となりました。
取り調べの結果、結局私たちがDOの共犯者であるという誤解は解けたのですが、母親と妹と担任と教頭と校長はガチギレ。
どうして警察官の言うことが信じられないのか分かりません。
それはさておき。
バトルしていた時につかんだパンティーはふわふわで、下の方は黄色でした。
しかもその持ち主のボディはボインボインでナイスバディ。
おまけにバトルの時には柔道技のように密着して投げられたので、それはそれは……
とおっと、これじゃあDOと同じになってしまいますわな。
もちろんそのパンティーは警察を経て持ち主に返却されたのでしょうが……
あの時のことは残念ながら厨房のオカズになってしまいましたとさ。
おぱんつは人を狂わせちゃうから仕方ないですね!