・温泉宿の一室にて(前編)
「……んっ……ぁ……」薄暗い温泉宿の一室にて、女が小さく喘ぐ。
「静かにしないと隣に聞こえるよ」私はそう釘を刺す。
この宿はこの付近の相場では安い部類になり、さほど防音が効いているとは思えない。
だが、女の乳首に当てた指の動きを止めるつもりは無い。
「………」女は軽く睨んでくるが、互いにもう行き着く所まで行ってしまう事は覚悟している筈だ。
キスをしながら指の動きを早める。「んぐ、……んぅ、…んん…」乳首が硬くなってきたので、はだけてきた浴衣の中に片手を差し込み、股間に指を這わせる。
先ずは下着の上から。
「…ん……はぁ……うん、…」女は声を抑えようとするが、キスで半端にこじ開けられた口からどうしても喘ぎが漏れる。
下着が濡れてきた所で、ゆっくりと手を下着の中へ。
中指を女の膣へ入れていく。
「ああ……あ……」徐々に指を上下に動かすスピードを上げていく。
「んっ、んっ、んっ、んっ」唇はもう離したが、女は口に手を当て声が漏れぬよう必死で抑える。
「ん、んぅ、…ん、」声は抑えられているが、それでも激しくなる吐息は隠しきれない。
「ふぐっ…んぐ…んん、んっ!」そろそろだろう。
女の身体が引きつりだす。
「んぁっ、ああっ!あぐ、うう、うん……う、ふぅ…ん……」抑えきれなかった大きめの喘ぎと共に、女が身体を大きく揺らす。
私が「イった?」と聞いたが、女は息を整える為か答えない。
・温泉宿での一夜を迎えるまで
以上が、私と、職場の部下で人妻の女性との、過ちの夜の前編です(後編は後ほど)。
当時、私は36歳で妻がおり、相手は35歳人妻、2人の子持ちで、この夜から遡ること2年程前に育休から復帰し、私の部下として働いていました。
一緒に働いている内に、互いに恋愛感情のような気持ちが芽生えてしまったようです。
私の住んでいる所や会社の周りは正直田舎で、例え雰囲気が出来ても気軽にホテルに行ける様な環境ではなく、二人の間に何も起こらない状況が続きましたが、二人に一泊二日の出張が命じられた時、過ちの一夜は確定してしまったようです。
出張の終わりは金曜日で翌日は休みの為、出先で個人でもう一泊するのは不自然ではない状況で、私たちは少し離れた温泉街の宿に向かい、中年カップルのように二人部屋を取ったのでした。
温泉に入り夕食が終わった後、覚悟を決めた私は彼女にそっとキスをして、上記の前編に続いたのです。
・温泉宿の一室にて(後編)
手で女をイかせた後、しばらくは肩を抱いて寄り添っていたが、ふと目が合った所で唇を触れあわせ、女をそっと布団に寝かせる。
「…ん……」一度イった女は少し身体を動かすだけでも感じてしまうようだ。
「んん……ぅん……」荒れた浴衣を優しく脱がせる。
が、優しく出来るのはここまでだった。
興奮しきった私は荒々しく自分の浴衣を脱ぎ捨て、女の乳首にむしゃぶりつく。
「…あっ…あん…あんん…」女は乳首が感じやすいらしい。
ややシワのよった乳輪の真ん中の乳首は硬いままだ。
「んぅ…ん、うん、ん…」女は、赤ん坊のように乳首を吸う私の薄くなり始めた髪を撫でる。
「気持ち良い……ん…」そんな声を聞きながら、私はゴムを取るために名残惜しそうに唇を離す。
その間、女は心得たようにそっと目を閉じ横たわりながら待っていた。
「……入れるよ」「はい……」慌ただしくゴムを付けた私は、十分に濡れたままの女の中に入っていく。
「ぁ……あ……」最初はゆっくり動くつもりだったが、我慢しきれずにすぐに激しい動きになっていく。
「あ…あ…あ…あ…あ…」妻の中はどんなだっただろうか?
そんな事が頭をよぎりながらも腰を激しく打ち付ける。
パンッパンッパンッパンッ。
「あっ、あっ、あっ、あっ、」女も激しく喘いでいるが達するにはまだまだだろう。
一方、私はすぐに限界に来てしまった。
(ぐ、うう、う……)「あんっあんっあうんっうぅんっ」
私の押し殺した声、女のもはや隠そうともしない喘ぎ声、ギシッギシッと畳敷きの床を揺らす激しい音の中、私は達した。
(うぐっ、ううっ、うっ…)「はぁ……あん……ん……」
・終わりに 浮気か不倫か
その後、後始末をしてその夜は眠り、朝は事前に話した通り、すぐに別れ別々に帰りました。
それ以降、彼女と再度肉体関係を結ぶ機会はなく、異動で職場が離ればなれになってからは、話すことも無くなって関係自体が無くなりました。
果たしてこれを浮気とするか不倫とするか、どっちと取るべきでしょうか。
どちらでも……いいか。