「6つ年上の兄」
私には6つ年上の兄がいます。
これは私がまだ中学生の頃でした。
当時の兄は家庭内では口数も少なく、私たち(姉もいます)妹たちとはろくに口も利かないような感じでした。
兄の部屋は私の部屋の横にあったのですが、幼いころから兄の部屋で一緒に遊ぶことが多かったため、中学生になってからも何となく兄の部屋に入りたい気持ちがありました。
当時兄の部屋にだけテレビも置かれていたので、それが羨ましく観たかったのもあります。
ある日兄がまだ帰宅していなかった時に、コッソリ兄の部屋に入ってみることにしました。
いけないことは分かっていたのですが、どうしても入りたい気持ちが抑えられなかったのです。
「兄の部屋の異臭」
勇気を出して(いらぬ勇気!)兄の部屋に入ってみた時、一番最初に感じたのは幼い頃には感じなかった異臭でした。
はじめはこれが何の臭いなのか分からなかったのですが、あとで分かってきました。
私はまだ中学生だったので、兄の部屋には幼い頃のままのような光景が広がっているとばかり思っていました。
しかし、幼い頃とは違い兄の部屋にはたくさんの本が置かれていて、中には明らかにHな内容の本がありました。
ベットの下にもいくつか本が隠されるように置かれていて、中には女性の裸の写真集もありました。
私も中学生とはいえ男性はHなものだということくらいは分かっていたので、これはそれほど驚きませんでした。
しかし…!
ふとゴミ箱の中に目を向けた時、ちょっと兄への嫌悪感みたいなものを感じてしまいました。
ゴミ箱の中には、丸められたティッシュが(それだけしかないくらい)大量に入っていたのです。
「はじめはこのティッシュの意味が分からなかった」
初めてゴミ箱の中の大量の丸められたティッシュを見た時は、何のために使ったのかが分かりませんでした。
どうしても不思議だったので私は自分であれこれ調べてみたのですが、結果あの丸められたティッシュはオナニーに使ったものだと判明!
これももう少し私が大人になっていれば理解できたのですが、中学生ではショックだけが大きく胸が詰まるような気持になってしまったのを覚えています。
幼い頃の兄とは全く違うというショックもありました。
しかも、嫌な気持ちになりながらも、私は男性のオナニーについても調べていました。
どんな感じでティッシュを使うのかなど、兄の事を想像するだけで変な気持ちになりました。
「あの異臭の正体」
大量の使用済みのティッシュを見て男性のオナニーについて調べた後、兄の部屋の異臭が何なのかハッキリと分かりました。
兄の部屋の異臭は男性の精液の臭いだったのです。
オナニーをして大半はティッシュの中に精液を出したとしても、多少はこぼれてしまったりするのだと感じました。
特にベッド周辺の異臭が強かったこともあり、それ以外は考えられませんでした。
また、マットレスやシーツに謎のシミが多数あり、内心「これこそが!」みたいに思っていました。
それからは兄を見る目が少しだけ変わりましたが、兄はそれ以外は以前と何も変わりがなかったので、私の中で「きっと男性のほとんどがこうなんだ」と自己完結をしていました。
大人になるにつれて本当にそうだという事も分かり、兄への偏見の目もなくなっていきました。