『私のスペック』
大学二年生で性別は女。
私の見た目は正直可愛い。
ぱっちりとした二重でもちっとした白い肌。
程よく引き締まった160cmと小柄でありながらもスタイルは良い方である。
言い寄ってくる男性は多い。
多くは「顔がタイプ」「君のスタイルがいいからだ」という理由ばかりである。
『彼氏のスペック』
大学一年生、性別は男。
彼氏は反対に、ウソ告白にもあっていて本人曰くモテない方であるらしい。
昔、顔や容姿が理由でからかわれた事もあるらしい。
私的にそこまで悪く思えず理由が分からない。
好印象を抱いているが、パーツパーツがあまり見ないタイプで独特であると思う。
陰ながら、その独特な雰囲気があいまって良い味を出していると気に入っている。
『出会い』
私たちの出会いはネット恋愛というものである。
共通のネットゲームから知り合い意気投合し、やがて、交際へと発展した。
初めて会った際、身体の関係もあり得るのではないかと臨戦態勢は整えた。
勝負下着を着用し、ムダ毛処理もした。
男性には分かり兼ねるかもしれないが、女子というのはなにかと面倒かもしれない。
汗で寄れても崩れないメイク、肉体美が際立つよう筋トレもした。
更に、軽く香水を吹きかけ絡む時に香るよう狙った。
しかし、結果は惨敗だった。
彼氏なら出会い頭に褒められても幻滅しない。
彼氏なら身体に触れられても気持ちがいい。
一切触れられなかったし、甘い言葉の一つもなかった。
高所恐怖症である事を良い事に、腕をぎゅっと握って身体を密着させても無反応。
いや、正確には無反応ではない。
怖くないように、立ち退いてくれたり彼の身体で外が見えないよう塞いでくれた。
交際している男女の距離感ではなく、友人かよと突っ込みたくなる距離感だった。
そんなデートが続いた。
屈辱的だった。
『初めての自慰』
帰宅後、おもむろにベットに直行した。
イラつく。
期待で胸を膨らましていた分、返り討ちにあったようだ。
乳の一つや二つ揉んで帰るものだと学習しなかったのかと、ワンピースをまくり上げ下着姿になった。
ブラをあげて手を入れる。
胸の赤い所をいじくり倒す。
甘い声は出るけれど、心の奥底は満たされない。
元々、コラム欄を見て研究したりヤッた事はあるので性感帯も熟知している。
私は気持ちよさを知っている。
でも、こんなにも乾ききった虚しい体験は初めてだった。
自分自身、そこまで好きな方でなかったため一人きりでしたことがなかった。
それをかき消すかのように、パンツを放り投げ足を広げる。
人差し指と中指で探し、クリトリスを見つけた。
そこから力を込めて、往復させる。
気持ちよくなりつつも、足りなかった。
更に、片手で胸をいじり横たわる。
どんどん指の動きは加速する。
快感の波が押し寄せ、頂点を迎えた。
腕が痺れ、一気に眠気が押し寄せた。
下着姿のまま、寝てしまったのだ。
気が付くと朝を迎えていた。
シャワーを浴びて出勤準備に戻る。
そんなどうってことのない日常が逆再生されるのだった。
『後日談』
あれから彼氏と話した。
その気がなかったのではなく、緊張しまくっていたらしい。
手を出したり、そんな考えは微塵もなかったそうだ。
好意は相変わらず継続していたので、良しとした。
彼氏は交際経験がなく、そういった経験もないのではないかと話していてなんとなく察した。
彼氏でなかったら、そんな人を許さずにさっさと立ち去る。
彼氏だから許している。
機会があったら、もう少し攻めて流石に流れで察するよう少し強引でも仕向けようと考えている。
虚しい体験はもう御免なのだから。