高校一年生の時、初めての彼女が出来ました。
相手は友人の紹介で出会った隣町の少しギャルっぽい女の子で、私達はすぐに意気投合し、スムーズに付き合う事になりました。
彼女にはそれ以前にも数名付き合っていた人がいたのですが、私は彼女が初めてで、付き合うという事自体どういう事かわかっていませんでしたが、要するに童貞だったのです。
嘘をつくのが嫌いな私は、彼女が初めての彼女であることを明言してはいましたが、15歳だった私に開き直って笑いに変えるような強さやテクニックはまだなく、自分が童貞である事を明言しつつも童貞らしからぬ堂々と言動や行動をすることで、彼女から「絶対童貞って嘘や~ん。」と言う言葉を引き出し、私は一切の嘘をつかずに童貞でないかの様な空気感を作り出していました。
因みに、これは嘘ではなく強がりなので私のポリシーには反していません。
しかし、これは私がその場でかっこつける為の応急処置の様なものであり、問題の根本的解決は出来ていません。
私が童貞であるという真実は霧の中には隠しましたが、そこに厳然として存在するのです。
これを解決するには経験をするしかありません。
童貞の気持ちを忘れた方は言うでしょう。
「彼女が居るんだから彼女とすればいいじゃん。」
この時私の足かせとなっていたものは初体験への恐怖や知識不足ではなく、自分が張りに張り巡らせた虚勢です。
私は一度として自分が童貞では無いなどと言う嘘をついていたわけではありませんが、事実上、空気的には私は童貞じゃないかのような誤った認識を彼女に与えていたので、もし行為に至れば、一挙手一投足かその虚勢がバレてしまうのではないかと言う恐怖が私の足を前へとは進めてくれませんでした。
しかし、付き合って5回目のデートの時、話は急展開を迎えます。
いつもの様に彼女の家に迎えに行くと、私とほぼ同時ぐらいのタイミングで彼女の女友達が訪れてきました。
私たちは今からカラオケに行く旨を伝えると、その友達も一緒に行きたいと言い出したのです。
私が「いいよ。」と答えようとしたその時、彼女と目が合いました。
私の本能が一瞬にして彼女の言わんとしていることを察知したのです。
「はぁ?もちろん私との二人きりの時間を大事にするよね??」
ギリギリ出かけた声を一気に飲み込み、「今日は二人で行く。」と答えました。
それが私が人生で初めて”女性クイズ”で正解を出した瞬間でした。
彼女の友達がちょっと不機嫌そうに彼女の家を出ていった後、私達は静寂の中二人きりになりました。
私が少し恥ずかしそうにしていると、彼女が私に近づいてきてキスをしました。
数秒間合わせた唇をすっと放し、見つめあい、また唇を合わせる。
3回、4回…、ついに私は舌をいれ大人のキスへ。
一見ロマンチックな様にも見えますが、私の脳内はフル回転していました。
子供の私でも分かるくらい明確なSEXへの入り口だったのですが、その扉をどうやって開ければいいか分からなかったからです。
私が彼女の胸に触れると、彼女は私に身を許した様に力を抜き、初めは友人から聞いた付け焼刃のテクニックもフル活用しましたが、初めて感じる肌のぬくもりは私達の心に充実感を与え、気が付くと無我夢中でお互いを求めあっていました。
そうして私は無事に初体験をする事が出来たのです。
薄暗い部屋の中で疲れ切った私たちは裸のまま寝転び、私はまるで尾崎豊の歌詞の様に覚えたてのタバコをふかしました。
彼女は私の方を向き私の吸いかけのタバコを一口吸い、煙を吐き出しながら「本当に童貞だったんだね。」と意地悪な表情で言いました。
「だから言ったじゃん(笑)」
気丈に振る舞いましたが、本当は結構傷つきました。(やっぱりぎこちなかったか~)
強がることを止め、正直に生きていこうと決めた初体験でした。