『破天荒なリカちゃん』
そういえば中学の頃、ちょっと変わった女友達がいた。
彼女の名前はリカ(仮名)。
リカちゃんは顔は中の上くらいのレベルだったけれど、胸と尻については中学生とは思えないほどの大きさで、クラスの男子の誰もがその豊満な身体をもみもみしたがった。
しかし、実際にリカちゃんに近づく男はあまりいなかった。
なぜならリカちゃんはおそらく、今で言うところの発達障害だったからだ。
だから破天荒で空気を読まない。
言うまでもなく女子のグループからは追放されていたので男子とつるもうとすることが多かったが、男子からも避けられていた。
その見た目に騙されて「かわいそうに、リカちゃんに優しくしてあげよう」という男は何人もいたのだが、そのほとんどが3日も耐えられなかったのだ。
なので長期的に安定してリカちゃんと話せる人材は貴重だった。
そして、俺はその一人だった。
……まあ、常識的な観点で見ればリカちゃんとの会話は厳密には成立しない。
なぜならリカちゃんには自分が話したいことを一方的に話し続けるクセがあるからだ。
しかしゲームのNPCだと思えば他の人のように「会話において自分が無視されている」と傷つくことなく耐えられる。
またリカちゃんは話している時、あちらにこちらにとチョロチョロせわしなく動き回ったり、何かを思い出しては突然どこかに行ったりということをよくやらかすが、それも「そういうものだ」と考えれば別にどうということはなかった。
ただこっちに寄ってきて3秒で「あ、トイレだった」とすぐにどこかへ消えた時はさすがに笑ったが。
『win-winの関係』
それはさておき、思春期の子が狭い教室に押し込められているという異常な状態にあって、こんな女の子がいじめられないはずがなかった。
ある日、リカちゃんは放課後にとある悪ガキグループに呼び出され、「施設に行けよ」「もう学校来んなゴミカス」などと言われながら殴る蹴るなどの暴行を受けたらしい。
……「受けたらしい」と書いたのは、彼女の言葉は俺にも正確には翻訳できないからだ。
例えば「あいつがばん、ぼん、ぼこってしてね、それからそれから……」なんて話されたって普通の人には理解できないだろう。
おまけにどこからどこまでが本当でどこからどこまでが妄想なのかも分からない。
ただ、あざや傷はあったので少なくとも何かしらの原因でダメージを受けたのは本当だと思う。
ともあれ、そんなことがあってからリカちゃんは学校には来なくなった。
しかしそれは「殴られたくないから」であって、別に学校が嫌になったというわけではないらしかった。
なので勉強はちゃんとやっていたし、俺から学校の様子を聞きたがることもあった。
……もっとも、こちらが3分も話せば飽きて何か別なことをやりだすことがほとんどだったが。
そして、リカちゃんはそのお礼に……
『リカちゃんのおパンツ』
よくパンツを見せてきていた。
普通の子ならそんなことはしないと思うが、リカちゃんの思考回路においてこれは正しい判断だった。
どこかのアニメやマンガで「パンツを見せる=男は喜ぶ」と学習したのだろう。
普通なら羞恥心等々があるのでそれを知ったって実行することはまずないが、リカちゃんはそんなことは考えなかった。
むしろ嬉々としておパンツを見せてきた。
そしてそれはたいてい、少し小学生っぽい幼さのあるデザインで、股の部分は黄色くなっていた。
黄色くなった部分を触ると、おしっことは違う何か独特な匂いが付いた。
また、彼女は家では扉を開けたままトイレをすることもままあった。
パンツを完全にずり下ろしているので、アソコが完全に丸見えだ。
だが、リカちゃんは気にしていなかった。
そしてリカちゃんのお母さんも男の子の手前「こらこら」というものの、あまり気にしている様子はなかった。
いや、お母さんは気にしようぜとは思ったが、おそらくお母さんの方にもリカちゃんと同じ傾向があったのかもしれない。
何ならむしろお母さんの方がもっとクセが強かったかもしれない。
なお、リカちゃんたちはその後誰にもお別れを言うことなく、唐突に引っ越していった。
他の地域では楽しくやっているのだろうか?
それとも他の地域でも同じような状況になっているのだろうか?
俺には確かめる術は無かった。