1.気配り上手の檜垣さん
修学旅行3日目の夜、僕達の部屋に女子が何人か遊びに来ていた。
僕は眠いという口実で布団に入ってスマホをいじっていた。
「――やかましくてゴメンねー」
クラスの中でもあまり接点のないギャルの檜垣さんが、僕の顔をのぞき込んで来た。
「構わないよ」
「ありがと」
檜垣さんはスマホの画面を見せる。
『マジうるさいって思ったら、メッセージ送って。それとなく引き上げっから』
僕はアドレス帳に登録されていた筈の、檜垣さんの番号を確認した。
2.見回りから隠れて
スマホに集中出来ないまま、僕は檜垣さんたちの会話にぼんやり耳を傾けていた。
声が大きくなりそうになると、それとなく誘導してくれてるのが分かった。
檜垣さんはいつも、そういう風に周りに気を使ってくれる。
普段は、時々ゲームの話をするぐらいだけど、そういう時も凄く話してて落ち着く。
ボリュームの落ち着いたざわつきに、僕は本当に眠くなってきた。
妙な違和感に目を覚ました時、部屋の中は真っ暗だった。
自分が修学旅行で旅館にいることを思い出した辺りで、光がさしこむ。
「寝てるかー」
先生が小声で部屋の入り口から声をかける。
「誰か来てたら、自分の部屋戻れよ」
言いながら、1人づつを懐中電灯で照らしていく。
違和感の正体に気付いた。
僕の布団の中に、誰かがもぐり込んで隠れていた。
先生の足音が遠ざかる。
僕はようやく布団の中を見た。
「!?」
檜垣さんだった。
「マジ助かった。感謝!」
囁いて、檜垣さんは出ようとする。
「戻って、来るんじゃ、ない? まだ、いて、いいよ」
思わず引き留めていた。
3.処女注意!
布団の中で、僕と檜垣さんは向かい合う。
『くっついてないと、バレるから』
メッセージを送る。
身体が押しつけられ、柔らかさと体温が伝わってくる。
『わたしの事、好きなん?』
返信の間もなく次のメッセージ。
『わざと引き留めたしょ?』
見透かされてた。
「うん……好き」
周りに漏れないぐらいの声で言った。
間が出来る。
着信。
『好きって言ったのに、何にもしてくれないん?』
僕は檜垣さんを抱きしめる。
パジャマ越しの胸の感触が伝わってくる。
それから、唇を重ねる。
ぷにぷにした柔らかい唇の感触から、ぬるぬるした舌が出て来て、こちらの口の中がまさぐられる。
唇を離さないまま、パジャマの裾から胸を揉みしだき、腰のラインを通ってズボンの下、お尻の割れ目からパンツの下まで指先を這わせる。
抱きついていた檜垣さんの手が、僕の勃起したものを引きずり出して太ももに挟む。
それだけで出てしまいそうになるのを、僕は掴み直してパンツの隙間から檜垣さんのにあてがう。
檜垣さんの指先に誘導され、温かいぬるぬるの部分に亀頭が包まれる。
と、スマホを目の前に突き出される。
『処女注意!超やさしくすること!無理矢理駄目、絶対!』
顔文字もついている。
それがなんだか妙に可愛く思えて、またキスをして身体をまさぐる。
それから無理をしないように亀頭でぬめりをこねるように動かしていると、射精感がこみ上げてきた。
出そう、と、思った時、ぐっと腰が締め付けられる。
檜垣さんの脚が、僕の腰を締め上げていた。
全面をしごかれる感触と共に、僕は檜垣さんの中に思い切り射精していた。
後から聞いてみたら、話すのが落ち着くって感覚は、お互い様だった。
僕の視線にはバッチリ気付いて、告白待ちだったとか。
先生の見回りは偶然だったけど、僕の布団は狙って入ったし、あのメッセージは念のため作成済みだったとか。
可愛いと思う反面、手のひらの上という怖さもなくはない。
まあ、互いを良く知っていけば、怖さもなくなるんじゃないかな、とは思う。
これから一緒の時間も増える事だし。