私といとこはお互いに負けず嫌いで、昔から何かの度に競争をしていた。
ご飯の時にはどっちが早く食べられるか毎回競っていたし、ゲームなんてしようものなら、勝敗でいつも大喧嘩になっていた。
ただ不思議と仲は良く、会うたびに競いながらずっと遊んでいた。
ある休日、お互いの両親は買い物に出ていて、家には私といとこ二人きりだった。
私は小4、いとこは小5の時の事だ。
何となく漫画を読んでいた私に、いとこが突然聞いた。
「ねえ、オナニーって知ってる?」
いとこにどうしても負けたくない私は、条件反射で「知ってる!」と見栄を張って答えた。
「ほんとに?」
いとこはニヤニヤと笑っている。
多分私が見栄を張っていた事に気づいていたのだろう。
「じゃあここでやってみてよ」と言ってきた。
オナニーがどういうものかも分からないが、いとこには負けたくない。
「……そんなに言うなら、A(いとこの名前)がやってみてよ。やりかた知らないの?」
なんでもないような顔をして言い返すと、いとこも挑戦的な顔で言った。
「じゃあ勝負しよ」
いとこは私の前に座ると、足を広げた。スカートからパンツが丸見えになる。
「最近学校で流行ってるんだよね。誰が早くイけるか」
そもそもオナニーが何かも私は知らなかったが、いとこの真似をして足をひらいた。少し恥ずかしいという気持ちで控え目にしていると、いとこの足が私の太ももの間に差し込まれる。
「ちゃんと開かないと負けだからね」
いとこに無理やり足を開かされる。
家には誰にもいなかったが、とてもいけない事をしているような気がしてドキドキした。
いとこは自分のパンツに指を入れて、小刻みに動かし始めた。
私も真似をして、自分のパンツに手を入れてみる。
何となく指を押し付けてみると、むずがゆいような、熱いような感覚になった。
目の前のいとこと目が合う。
「びびってんの?」
「別に違うもん」
「じゃあ恥ずかしいんだ」
「それも違うし」
いとこは上から下にこすり上げるようにして指を動かしている。
それに負けたくなくて、さっきよりも強く指を股の間に押し付けた。
どこをどう触るのが正解なのか良くわからなくて、手当たり次第に指先を動かす。
ふと指先に小さくコリコリとしたものが当たる。
そこに指が強く当たると、じんじんとした感覚になることが分かった。
熱に浮かされたようにそこをこすり上げる。
だんだんとパンツの中が熱く湿ってきていた。
「ん、んっ」
いとこは体育の後みたいな息が漏れている。
指の動きがさっきよりも早くなっていて、それに合わせて息が小さく漏れていた。
目がとろんとして、大きく身体がビクッとする。
その動きにびっくりして、私は目が離せなかった。
太ももを震わせてしばらくした後、いとこは大きな息をついた。
「イったよ。私のかち」
「え?」
私は思わず自分の指の動きを止めて聞き返した。
イくのが何なのかも分かっていなかったから、自分が負けたのかどうかも納得がいかない。
「なんで?」
「なんでも。私が勝ったから、あんたは罰ゲームね」
いとこは座っている私の後ろに回り込んで、太ももを押さえた。
手がパンツに伸び、何か言い返す間もなく指が股に触れた。
こりこりしたものに指が押し付けられて、さっきのじんじんとした感じが戻ってくる。
「えっ、やだっ」
「罰ゲームだから、嫌がったらもっと負けだからね」
よくわからないルールを言われ、私は動けずにいとこにされるがままになった。
自分のパンツの中で、いとこの指が動いている。
自分で触っていたのとは違って、ぐりぐりと無遠慮に触られる感覚。
痛くはないけど、むずがゆい感覚がどんどん強まっていく。
「あっ、んんっ」
「声出したら負けだからね」
刺激に耐えられなくて声が出たのをいとこに止められた。
さっきとはちがう、何かこみ上げてくるような、頭に血が上るような感じだった。
気が付くと私も、さっきのいとこと同じような、運動した後のような息が漏れている。
「もうイくの?」
「わ、わかんない」
初めての感覚にどうしていいのか分からず、泣きそうになりながら答えた。
私の様子にはお構いなしで、いとこは容赦なく指を動かす。
ぎゅっと強く指を押し付けられて、私は頭が真っ白になった。
「あっ……!」
がくがくがくっ、と身体が大きく震えた。
弾けるような感覚が股の中心から身体中に広がっていく。
後ろのいとこに身体を預けたままぐったりと余韻に浸った。
ビクッ、ビクッと身体が震える度に、良くわからない気持ち良さが襲った。
「イったんでしょ」
「うん」
耳元で聞かれて、私は素直に答えた。
もはや勝ちとか負けとか、どうでも良くなっていた。
それからは何事もなかったかのようにゲームをして、帰ってきた両親と夕飯を食べた。
その日は普通にいとこと別れたが、その後は会うたびに、「オナニーで勝負しよ」と相手に誘うのが私たちの流行りになった。
中学校に上がった辺りから自然とやめてしまったが、大人になった今でも、たまに思い出す。