●当時のぼくの彼女のこと
当時、ぼくは高校2年生。
割と進学率の高い高校に行っていました。
ぶっちゃけ、ちょっとばかり頭のいい生徒が集まっていた高校でした。
当時のぼくにはガールフレンドのようなものが確かにいました。
仮にA子としておきます。
頭文字ではありません。
A子は別の高校に通う2年生。
普通科ですけど、ぼくらの学校よりは少し偏差値の落ちる高校でした。
彼女が1年のときにぼくらの高校の文化祭に来てくれて、そのときに知り合ったんです。
さっき〈ガールフレンドのようなもの〉と書きました。
彼女とは半年以上付き合って、デートもしたし、勉強の面倒もみてあげました。
でも、まあ、要するにやらせててくれないんですね。
キスはなんとかいきました。
唇と唇をつけるところまで。
でも、舌を入れようとすると、もうだめ。
キスしながら胸に触ると、ぴしゃりと手をたたかれました。
だんだんジリジリしてきて、あるとき、強引にスカートに手をつっこんだら、「そういうのナシ!」と、怒られました。
甘ったれた拒絶なんかじゃないですよ。
目をつりあげて、本気で怒っているんです。
なんだか心が寒々としてしまって、その日はすごすごと別れました。
彼女に嫌われているのかなあ、と思って沈んでいたら、メールが来て(そのころまだLINEはありませんでした)、「次はいつ会える?」なんてことが書かれているんです。
なんか蛇の生殺しっていう感じで、嫌気がさしてしまい、しばらく彼女とは連絡をとりませんでした。
●夏祭りで大学生の女子と出会う
それからしばらくして、地元で盆踊りがありました。
本当ならA子を誘って参加するところでしょうが、前記の通り嫌気がさしてきたところだったので、中学校のときの悪友といっしょに参加しました。
その悪友というのが、けっこう女に手の早い男で、たちまち女子大生のふたり組をナンパしてきました。
ふたりとも浴衣姿でした。
女の子の浴衣姿って、そそられますよね。
そして夜の暗い中で見ると、まあ5割増しぐらいに美人に見えるものです。
4人でいっしょに踊って、夜店のたこ焼きを食べたりしました。
彼女たちはぼくらの中学の2年先輩で、県央にある4年制大学の1年生でした。
ふたりのうちの片方は、背のすらりとした、化粧が濃い目の美人系。
もうひとりは背が低くてかわいらしい感じの女子でした。
そのうち、悪友が美人系の女子大生とどこかへ行ってしまいました。
「あーあ、行っちゃった」と、残されたかわいい女子がため息をつきました。
どうやら、いつものことのようでした。
こちらの女子を仮にB子としましょう。
ぼくはB子としばらくおしゃべりをしていました。
さっき祭りの夜は5割増しに美人に見える、と書きましたが、そばで見ていると、もう5割増しどころじゃないですね。
後ろで結った髪が色っぽくて、そばにいると甘い香りに鼻を刺激されるし、心臓がドクドクと脈打ちました。
で、そろそろ夜も遅くなったので、彼女の家まで送っていくことしました。
他愛のないおしゃりをしながら、20分ほど歩いて、住宅街にある彼女の家までいきました。
「じゃ、おやすみなさい」
本当に楽しい夜だったので、そう言ってお別れしようしました。
そしたら彼女が何か言いたそうにモジモジとしているんです。
「どうしたの?」と訊いても、なかなか言ってくれません。
しばらく待ったら、ようやく返事をくれました。
「ね……あの……今夜、お父さん、お母さん、いないの」
それが何を意味するのか、いくら高校生のぼくでもわかりました。
一瞬で頭に血がのぼった感じがして、顔が熱くなりました。
「ね、近所に見られるから」
うつむいてそう言われ、ぼくはあわてて彼女について家の中に入っていきました。
●お姉さんの部屋で童貞卒業
B子の部屋はいかにも女子の部屋という感じでした。
ピンク系の色を多用したかわいらしい雰囲気の部屋でした。
ぼくは頭がポッポと熱くて、何をどうすればよいかわかりませんでしたが、とにかく落ちつこうと、また他愛のないことをおしゃべりしました。
そのうち、ふっと会話がとぎれたときに、思い切って抱きよせると、抵抗されませんでした。
A子とは大違いだと思いました。
キスをしました。
すぐに舌を絡めて。
その段階がすでに初体験です。
それから彼女をベッドの上に押し倒して、浴衣を脱がせようとしたら、初めて抵抗されました。
「待って。シャワーを浴びてから」
結局、ふたりで順番にシャワーを浴びることにしました。
シャワーをあびて、Tシャツにショートパンツという格好になった彼女と、あらためて抱きあい、キスから始めました。
(あせっちゃいけないよ。あせらずに)と、ぼくは心の中で自分に言いきかせながら、コトを進めていきました。
なんてえらそうに書きましたが、実のところ、主導権を取ったのはB子のほうでした。
B子は経験者でした。
初心者のぼくをうまくなだめながら、ドッキングまで誘導してくれました。
避妊はちゃんとしましたよ
実はこれもB子の用意だったんです。そういうことも含めて、何もかもB子まかせの童貞卒業でしたね。
●その後
その後、ぼくは正式にA子と別れ、B子と付き合い始めました。
ぼくの受験勉強が本格化するまで、1年近く付き合いました。
本当にいい彼女でした。
後輩にアドバイスすると、初めてのときは、経験者が相手のほうがいいように思います。
もちろん、相思相愛のガールフレンドと、処女対童貞でがんばってみる、というのも、それはそれで楽しいかもしれませんが。
以上がぼくの、高校時代の初体験記録です。