『姉のススメで兄を教材にする妹』
入浴、彼の剣豪、宮本武蔵は隙を作ることを嫌い風呂に入ることを嫌がったそうだ。
つまり何が言いたいのか、入浴中の人は無防備なのである。
特に頭を洗ってる最中など視界も聴覚もほぼ塞がっている。
だからだ。
素っ裸の姉と妹が鍵を掛けたハズの風呂場のドアを開けて入って来ていても即応できなかった。
「なんぞ!?」
「やあやあ、弟よ。たまには家族で裸の付き合いでもしようじゃないか」
前も隠さず堂々と立ってる姉に言わねばならないことがある。
「取り合えず出てってくれよ。鍵かけてんのに入ってくんなよ」
「お風呂場のドアって緊急時に外から鍵を開けるために細い棒状の物で押すと開けられるようになっているのだ」
どや顔でそんな説明をする姉に呆れた。
「知ってるよ。そして今は何の緊急事態だって?」
こちらの疑問に答える前に姉が妹の肩を掴んで前に押し出す。
姉と違いさすがに恥ずかしいのか妹は両手で身体を隠している。
「強いて言うなら妹の間違った性知識の危機だ」
説明が説明になってない姉と羞恥で視線をこちらに合わせもしない妹、意味の分からない現状だからこそ落ち着いて話を進める必要がある。
「なんでそんな話になったんだ」
「この子が書いてる漫画を見たんだけど」
妹は所謂、腐女子と呼ばれる趣味があり、自分でも何か書いていることは知っていた。
「発射してる量が多すぎるんだよね」
「いや、それはあくまで漫画的表現なだけだろ」
漫画はわかりやすさを重視する。
デフォルメされた過剰な表現など珍しくもない。
「私もそう思ってたんだけどね。じゃあ妹ちゃんに質問です。男性が一度に発射する量はどれ位だと思う?」
「え? えっと1リットルほど?」
リットル!?
「じゃあ次の質問、男性のシンボルって臨戦態勢になった時にどれくらい大きくなると思う?」
「え? う~ん」
姉の質問で兄の股間へ視線を向けるな妹よ。
「20倍くらい?」
「っぶ!?」
妹の言葉につい吹き出してしまった。
「とまあ、こんな感じだったので、丁度いい教材が家に居ることだし、正しい知識を教えるためにやって来たのさ」
「そうか、出てけ。あとそれなら何で姉ちゃん達も裸なんだよ」
「裸を見せろって言うのにこっちだけ服を着てたらフェアじゃないと思って?」
この姉は傍若無人なクセに変なところで律義と言うべきか。
「あと実演のために元気になって貰うのにね!」
やっぱ無茶苦茶なだけだな。
「お前も嫌ならちゃんと断れよ。姉ちゃんに無理に付き合う必要ないぞ」
羞恥でもじもじとしている妹を見て遠回しに風呂場から出ていくように促す。
「おやおや? まるで私が唆した悪者みたいに言ってるね。確かに提案したのは私だけど、その話にノリ気になったのはこの子だよ」
マジかよ。
「だから、諦めておっ勃てなさい!」
姉に後ろから抱き着かれ拘束される。
背中に柔らかい物が当たり男性の生理現象を誘発させようとしている様子だが今のところは俺の理性の方が優勢である。
「ほら妹ちゃん! 今だよ!」
「えっと、じゃあ失礼して」
妹が俺の前にやって来て屈む。
そしてじっくりと俺の股間にぶら下がっているモノを観察してからゆっくりと手を伸ばして感触を確かめるように握った。
「ふにふにしてる」
「っちょやめ」
「いいぞ妹ちゃん! そう優しくだよ」
バカ姉が楽しそうに煽る。
「あ、弾力が、硬くなってる」
こちとら健康な男、敏感なシンボルを刺激されて反応させないなど無理な話である。
「あとローションとか使った方がいいかも、まあ無いからリンスで代用しよ」
姉の言葉に従って妹が自分用のリンスを手の平に出して広げる。
普段意識しない甘い香りと共に滑って激しくなる妹の手の動き、抵抗しようにも問答無用で股間のシンボルに血液が集中していく。
「カチカチだ」
「そろそろフィニッシュ決めちゃいなー」
姉まで後ろから弄って来る。
「ビクビクしてる」
我慢の限界を迎えた。
「っわぷ!」
俺の一物を興味深そうに観察していた妹目掛けて熱い白濁液が発射された。
「妹にぶっかけとかやるねぇ」
姉の拘束から解放され、俺は情けなさと疲労感でへたり込む。
「……なんか生臭い」
「まあっちゃっちゃっと洗い流しちゃいなさい」
妹はへたり込んでいる俺と自身の顔に付着した生臭い液体を鏡で確認している。
「うん、これだけ?」
「妹ちゃん、漫画はファンタジーだからね」
そして、先ほどまで俺のシンボルを弄りまわしていた手を確認する妹。
「あと、硬くなっても案外ちいさ……」
「妹ちゃん! それは言っちゃダメだよ!」
こうして俺の心には割と深い傷を付けられたのであった。