『厳格な環境の中のオアシス』
私は幼少期を仙台市で過ごしました。
仙台市といえば東北地方で一、二を争う都市で、ここには人もお金も仕事もたくさん集まってきます。
私の祖父はここでチャンスをつかみ、なかなかの財を成したそうです。
一方、父は教師という堅実な仕事を選びました。
自営業でさんざん苦労してきた祖父を見てきたからでしょうか、父は私に、人として正しくありなさい、堅実に努力を重ねなさいというようにいつも言っていました。
また母は市役所に勤める地方公務員。
公務員同士で結婚した夫婦の子とあって、幸運なことに私はお金に困ったことはありませんでした。
洋風の立派な一軒家に住み、10歳になった時には自分専用の部屋と学習机を与えられ、同級生にはよく羨ましがられたものです。
しかし、私には自由がありませんでした。
学校から帰ってきたら、両親が帰ってくる前にあらかじめ決められた範囲の勉強をしなくてはいけません。
またお掃除など家事の手伝いもあります。
おまけに飼っていた犬の散歩も私の仕事でした……
まあ、こっちはふく(男の子)がかわいかったから別に良かったんですけどね。
なので放課後に友達と遊んで楽しかったという記憶はあまりありません。
しかも私の家には、他の子の家には当たり前のようにあったマンガやゲームなどという低俗とされるものはありませんでした。
とはいえ、息抜きがまったくなかったわけではありません。
1つはわんこの世話や散歩。
もう一つは親に内緒で見るテレビアニメ。
特に「カードキャプターさくら」がお気に入りでした。
そして、私の初めての自慰のきっかけはこの作品の主人公、木之本さくらでした。
『エロくないのが逆にエロいとは』
「カードキャプターさくら」は平成を代表するアニメの1つとされているのでご存じの方も多いでしょうが、木之本さくらはとてもかわいい女の子です。
かわいいといっても「萌え」や「エロカワイイ」とはまた違うベクトルのもので、正しく少女漫画の主人公をしている、あるいは正しく魔法少女をしている中でのかわいさといった感じ。
あの天下のNHK様が放映しているだけあって、作品全体としてはなかなか真面目な雰囲気があり、また完成度はかなりのものでした。
とはいえ、娯楽が少ない、常に強いプレッシャーに晒されている、孤独であるといった中学生男子がこういうかわいい女の子を見たらどうなるか……。
もちろん、かわいい女の子のアニメキャラクターは他にもたくさんいるじゃないかという反論もあるでしょう。
しかし親の教育のせいか、例えば当時から同級生たちに人気のあった「ワンピース」のナミはおっぱいドーン、水着バーンといったド直球のエロさがどうも好きになれませんでしたし、他もあまりしっくりきませんでした……
ナミが好きな方ごめんなさい。
環境がもし違ったなら、私も好きだったかもしれませんね。
とそれはさておき。
私は毎晩、さくらちゃんとあんなことやこんなことをする妄想をするようになりました。
『あんなことやこんなこと』
「あんなことやこんなこと」の内容は、はじめはマイルドでした。
当時私は中1だったのですが、何せエッチな方面のことは保健で習うことのほかはほとんど何も知らなかったものですから、せいぜいいっしょに遊ぶだとか、キスをするとか、抱き合うとか、そのくらいがせいぜいでした。
しかし、そのうちさくらちゃんにスカートの中のパンツを見せてもらうとか、膝枕をしてもらうとか、そういった妄想をするまでになりました……
たぶん同年代の他の子からすればかなり大人しい話だとは思いますが、それでも当時の私にとっては大それたものだったのです。
何せ学校も親も「不純交際」を禁じていましたからね。
ちなみに今考えれば不思議な話ですが、当時の大人たちの誰も「不純交際」について具体的なことは何も教えてはくれませんでした。
だから「女の子が好き」という感情自体が学校などの真面目な環境では罪なのではないかという感覚が、大人になった今でもちょっぴり残ってしまっています。
ともあれ。
そうしているうちにだんだんと妄想中におちんちんをいじることが増え、さくらちゃんと気持ち良くなりたいと思うことが増え、そうしているうちにいつの間にか自然とシコることを覚え……
ついに私はさくらちゃんとの妄想で初の射精を体験しました。
その時の妄想は、確か2人とも下着の状態になってさくらちゃんの部屋で一緒に遊んでいる、というようなものだったと思います。
そんな中生温かいぬるぬるした何かが出てきたことに驚き、私は盛大にパジャマやシーツを汚してしまいました。
なお、このことは後に家で大問題になったことは言うまでもありません。
ま、しかしそうして騒いだところで想像力を使うことなんて誰にも止められやしませんけどね。
それに今思えば、これはむしろ性教育として良くありません。
こういう古い考え方は、さっさと刷新すべきです。