『男になりたい彼女との出会い』
「私、男に生まれてくればよかった。ああ、男になりたい」。
いつもそんなことばかり口にしている彼女と出会ったのは、今から一年ほど前。
本名は「のり子」さんですが、まわりに対しては「のり男」くんと呼ばせていました。
のり男くんは、スカートをはくこともなく、必ずといっていいほどボーイッシュな格好をしていました。
僕が初めてのり男くんと会ったのは、街の中にある居酒屋でした。
友達に誘われて居酒屋へ行ったら、仲間が何人かいて、そのうちのひとりがのり男くんだったのです。
飲み始めて最初の30分ほど、僕自身のり男くんは「男」だとばかり思っていました。
ひょんなことから誰かが「本当は女のくせに」というのを聞いて「えっ、のり男くんって女なの?」と僕はびっくりしてしまいました。
のり男くんは、どういうわけか僕に興味を持っていたようです。
のり男くんとは対照的に、僕自身まるで女の子のような背格好をしていて、ちょっとなよなよしたところがあったからかもしれません。
見た目通り、じつは僕には女装癖がありました。
勇気がなくてカミングアウトはしていませんが、僕は女の子の下着が大好きで、この日も花柄のブラとパンティーを身につけていました。
酔いがまわり出すと、のり男くんは明らかに僕に迫ってきました。
僕の耳元で「ね、このあとふたりだけで飲みに行こうか」とささやいてきたのです。
僕は胸をぞくぞくさせながら「うん」と答えました。
のり男くんって、すてきかも‥‥そんなふうに直感したのです。
『のり男くんに抱かれた僕は』
その後、僕はのり男くんとふたりだけでショットバーへ足を運び、カクテルを何杯か飲んだあと、駅裏のラブホテルへ行きました。
僕自身、女の子(とはいえ、見た目は男の子でしかない)とセックスをするのは初めてだったので、僕はやたらどぎまぎしてしまいました。
お部屋に入ると、のり男くんは「こいよ」といって、僕のことを抱き寄せました。僕はあそこを触られ、「ああ」とうめき声をあげました。
「じつは僕、女になりたい」と明かすと、のり男くんは「やっぱりな」といい、僕の服をやさしく脱がせ、ブラとパンティーだけの姿にしました。
「僕は恥ずかしい」といって顔を隠しましたが、のり男くんは僕の唇を奪うと、そのまま僕の体に覆いかぶさって、僕を攻め立ててきました。
僕は女の子のような歓声をあげました。
「あ、だめ。すてきよ」というのがやっとで、僕はたちまちイッてしまいました。
パンティーに白い液体がべたべたとはりついて、僕は赤面しました。
『男女入れ替わりのデート』
それから僕は、正式にのり男くんとつき合うことになりました。
のり男くんは私のことを「ゆきちゃん」(僕の本名はゆき夫です)と呼び、ひとりの女の子として扱ってきました。
のり男くんのためにも「きれいになりたい」と思った僕は、一生懸命メイクを覚え、うんと可愛らしいワンピを着て、のり男くんのために尽くしました。
僕、いえ私は‥‥のり男のアパートで料理にも挑戦しました。
のり男くんのためにお鍋をつくったり、煮物にチャレンジしたり。
のり男くんはいつも「おいしい」と喜んでくれましたが、私の料理よりも、私とのセックスが楽しみなのか、最後はいつも「さぁ、おいで」といって、私のことを抱いてくれました。
性別が入れ替わるなんて、映画やドラマの話だとばかり思っていましたが、私とのり男くんはまさに男女の役が逆転してしまいました。
のり男くんが私を抱いて、私が身もだえる。
私はのり男くんの行為にうっとりしながら、本物の女性になりたいと、ますます強く願うようになりました。
『のり男くんのお嫁さんになりたい』
のり男くんのお嫁さんになりたい。
いつしか私は本気でそう考えるようになりました。
無理なことはわかっていますが、願わくばのり男くんの赤ちゃんを産みたいとまで思うようになったのです。
そういうのりくんは、ますますかっこよくなり、見た目的には完全に男としかいいようがありませんでした。
私とのり男くんは、以前にも増してお互いの心と体を求めるようになり、われを忘れて、本能の赴くままに抱き合いました。
まさに毎日が初体験。
そういってもいいほど、のり男くんとの男女逆転のセックスは刺激的でした。
ついにがまんできなくなった私は、のり男くんにプロポーズをしました。
のり男くんは私のプロポーズを受け入れてくれて、私たちは小さな借家で新婚生活を始めました。
もちろん法的には正式な夫婦ではありませんが、私たちはいつも一緒です。
本当であれば、男の私と女ののり男くん。
いえいえ、まだ性転換しているわけではないので、男の私と女ののり男くんであることに変わりはないのですが、男女の役割が入れ替わった疑似カップルとして、これからも幸せを求めていきたいなと考えています。
のり男くん。私のことを幸せにしなかったら、許さないからねー。
愛してる、チュッ。