[ユウヤの彼女は、私・・だよね]
アユミは吹奏楽部の部長で、ユウヤはサッカー部でゼッケンは10番をつけています。
中学3年になった二人は、夏までが部活で活躍できる最後の学年です。
アユミは高校進学を考えて中学1年から学習塾に通っていました。
ユウヤは、サッカー部でも目立つ存在でクラブチームからも声が掛かる程のレベルです。
中学生ながら長身でアイドル並みのルックスとサッカーの世界ではチョットした有名人です。
ユウヤを同世代の女の子が放っておくはずがありません。
それでもアユミは、そんなユウヤの彼女は自分だと思っていました。
サッカー部や野球部が他校と親善試合をするときは、アユミが部長を務める吹奏楽部は応援団と共に駆り出せれていました。
ユウヤ達サッカー部の親善試合がアユミとユウヤが通う中学校のグランドで行われます。
ユウヤ目当てに他校の女子中学生とアユミの中学の女子生徒がグランドに集まってきていました。
ユウヤに向かい黄色い声援を送っています。
吹奏楽部で指揮を取るアユミの胸の内は、優越感と焦る気持ちが交錯していました。
アユミとユウヤの同級生達は二人は当然付き合っているのだと思っていました。
アユミとユウヤはお互いに告白し合ったこともなければ二人でデートをしたこともありません。
そんな二人でしたがアユミも当然自分は、ユウヤの彼女だと思っていたのです。
試合の合間にユウヤが他校の女子中学生に囲まれ写真を撮ったりサイン帳にサインを求められています。
横目でその光景を見ていたアユミは試合後に「ユウヤ、嬉しそうだったね。」とユウヤに嫌みを言いました。
「悪い気はしないよ。」とユウヤはアユミの言葉をサラッとかわします。
ユウヤはサッカーの強豪校から特待生として入学の誘いを受けていましたが、何が起こるか分からないのがスポーツの世界です。
ユウヤはサッカーの特待生としてではなく一般入試でサッカー強豪校への進学を考えていました。
中学校での成績も上位のユウヤでしたが、半年後には受験が控えています。
ユウヤは進学塾に入会することにしました。
ユウヤはあえてアユミの通う塾は選ばず集団塾に通い始めました。
只でさえユウヤが心配なアユミは様々な理由を付けてユウヤの通う集団塾へ転塾しました。
アユミの母親は教科によっては成績が極端に差があるアユミが集団塾に転塾することに反対でした。
ユウヤはグランドでも塾でもアユミの姿に気づくとワザと他の女の子に優しく接しているように思えました。
アユミがやきもちを焼いている様子を楽しんでいるようにアユミには映っていたのです。
アユミはある日そんなユウヤに「ユウヤの気持ちが分からない。」と詰め寄りました。
ユウヤは「何のことだよ。」とアユミに聞きました。
「何故、私が見ている前でワザと他の女の子に優しくするのよ。」とアユミはユウヤに言いました。
一瞬、呆気にとられたユウヤでしたがアユミの気持ちには気付いているユウヤです。
「俺、アユミと付き合ってたっけ?」と意地悪くユウヤはアユミに言いました。
ユウヤには好きな女の子はいませんでした。
周囲が勝手にアユミとの付き合いを誤解していることも知っていましたが、そう思われている方が都合が良かったユウヤは周囲にはあえて否定はしていませんでした。
それよりも頭の中はサッカーで一杯だったのです。
アユミはユウヤに返す言葉が見付かりませんでした。
[抱かせてくれたら彼女にしてやってもいいよ]
ユウヤは「抱かせてくれたら彼女にしてやってもいいよ。」とアユミに言いました。
ユウヤにはアユミを抱くつもりは勿論ありません。
ユウヤは特別にアユミのことを好きとは意識していませんでしたが、ユウヤにとってもアユミは他の女子とはチョット違う存在でした。
ユウヤにとってもアユミは着かず離れずの必要な存在だったのです。
しかし、高校生になったら・・将来は・とまでは考えていません。
ユウヤには今の状況を壊さず卒業できればいいと複雑な思いがありました。
アユミに掛ける言葉はこれしか思い浮かばなかったのです。
アユミはユウヤの言葉を聞き唇を噛み締めていました。
数分後、ユウヤが「塾の授業、始まるよ。」と教室へ向かいました。
[初めての体験]
塾の授業が終わり帰り道でアユミがユウヤに「私と一緒に来て」と声を掛けユウヤの先を歩いて行きました。
アユミの両親は共働きで土曜日は深夜まで帰りません。
アユミは自分の部屋へユウヤを招き入れました。
ドアを閉めるとアユミは服を脱ぎ始めました。
服を全部脱いだアユミはユウヤに「抱いていいよ・・」と言いました。
裸のアユミをユウヤは黙って見つめていました。
初めて見る女の子の体から目が離せずにいたユウヤですが、アユミの体に服を掛けました。
アユミは「抱いてそして彼女と認めて・・」と涙を浮かべています。
ユウヤは本気で自分に思いを寄せるアユミが愛おしく思えました。
「そんなことしなくてもアユミは、俺の彼女でいいから・・」とユウヤはアユミに言いました。
アユミはユウヤに掛けて貰った服を床に落としユウヤの体にしがみつきユウヤの唇に自分の唇を重ねました。
ユウヤにとっても初めての経験です。
緊張がユウヤの体を固くしていきます。
ユウヤにしがみつきキスをているアユミの体をユウヤは恐る恐る触り始めました。
二人は甘酸っぱい初めての体験をしたのです。