『けだるい土曜日の午後に』
どうやら俺の「初めて」は少し変わった部類に入るらしい。
何でも他の人たちはなんとなく処女・童貞を捧げるということはないようなのだ。
ともあれ、俺が童貞を喪失した顛末はこうだ。
あれは確か高2の夏の土曜日の午後のこと。
俺ん家で好きな後輩の女の子と2人でゲームをしていたところ、どういうわけかエッチな話題が出てきた。
女子っていうのは話題がコロコロ変わるものだし、特にその時も気にしてはいなかったのだが、気が付けばいつの間にかガチでヤっていた。
あまりにスピーディー過ぎて自分でも驚いた……
しかも俺たちはあろうことかナマでヤっていたのだ。
『ヤる時は下にご注意』
えっ、女子高生の膣は濡れ濡れで感度も抜群だったんじゃないかって?
いや現実はそんなドリーミーなものじゃあない。
そもそも童貞と処女でヤっているから、下半身裸になっていざ挿入となってもどこに入れたらいいのか分からない。
それに彼女はこっちの息子を見て「そんなの入らないよー」だなんて言っていた。
結論から言うと息子は無事に彼女の中に入っていったのだが、その時に彼女は少し出血したりもしていた。
これから「初めて」をおっぱじめるって子は、下に血やら体液やらが垂れてもいいような対策が必須だな。
ちなみに俺たちは淡い色のカーペットの上でヤったもんだから汚れをごまかすのがわりと大変だった!
まあそれはさておき。
問題はまだ他にもあった。
俺は射精で気持ち良くなっていい思いができたわけだが、彼女は俺のように強く「感じている」というわけではなかった。
人によるのかもしれないが、AVのように感じるということもなかったらしい。
つまり、フィニッシュさえできれば簡単に気持ち良くなれる男とは違い、女は丁寧にムードやテンションを高めていって感度に応じて優しく責めてあげないとダメということを当時の俺は知らなかったのだ。
おまけに、それを知った俺のおかんは……
『鬼神おかん』
彼女とのイチャイチャを知った俺のおかんは、鬼神のようになった。
ああなったのは後にも先にもあの時だけだ。
そう、当時の俺は、そして彼女も妊娠のリスクについてちゃんと考えていなかったのだ。
彼女はピルを飲んでいたから避妊もできると考えていたようだけど、結局ピルを飲んでいたって、ゴムをしていたって避妊率は100%ではないし、もし妊娠してしまえば高校生の身で責任を取ることはできない。
幸いにもその時は妊娠することはなかったが、その後女性陣は気が気ではなかったそうで、俺は彼女の父親からすら同情されるレベルでおかんにボコられた。
無知というのは罪である。
『ケガの功名』
そして結局俺たちは周りの圧力もあり引き剥がされたわけだが……
年頃の男女の性に対する衝動というのはすさまじいもので、時に執念とすら言えるものになる。
ゆえに俺たちは周りの目を忍んでこっそりデパートや公園などで会っては時にヤってすらいた。
しかし、さすがにあんなことがあったからか無知からくる危険な行動をもう繰り返すことはなかった。
毎回きちんとローションたっぷりのタイプのゴムをつけるようにしたし、排卵日のチェックも欠かさなかった。
また、自分よりも彼女が気持ち良くイけるよう色々と工夫を施すようになった。
またこれが「相手のことを考える」訓練になったためか、クラスや部活の人間関係が今までよりずっとうまくいくようになった。
「初めて」はああだったが、これもケガの功名というやつなのかもしれない。
とはいえ、結局俺のケースでは結果的にそうだったというだけで、あの時もし妊娠していたらとんでもないことになっていただろうことは間違いない。
今では情報が足りないということはないだろうが、ぜひヤる前にリスクについて考えてみて欲しいと思う。
行為の満足度を高めてより愛を深めていくとなると、それは絶対に避けては通れない道だから。