『恋愛禁止の世界で』
少し前にブラック校則というものが話題になっていましたね。
ブラック校則とは理不尽で現代では通用しないような校則の総称。
その中には「恋愛禁止」というのも入っているそうです。
私はこれを最初に聞いた時はびっくりしてしまいました。
なぜなら私の行っていた高校では恋愛禁止が当たり前だったからです。
おっと、その前に私の母校がどんなものだったかについて説明しなくてはなりませんね。
そこはよくある公立の進学校でした。
偏差値は良くもないが、そう悪くもない程度。
まあ典型的な地方の(自称)進学校ってやつですよ。
東大はともかく、早稲田とかMARCHくらいだったら年に何人かは受かるかなといった程度の所。
言うまでもなく雰囲気はピリっとしていて、校則や教師どもは無駄に厳しいことで有名でした。
先の恋愛禁止というのもその一つです。
「いい大学に行ったら黙ってても女の子にモテるんだから、今は我慢して大学でいい女の子と好きなだけイチャイチャしろ、それをバネに勉強頑張れ」というのが男性教師のよくある言い分でした。
特に東大や京大になんか入ったらハーレム状態!
将来も約束されていて死ぬまで勝ち組の人生が約束される……そんなことだってよく言われましたね。
『ささやかな2人の世界』
とはいえ、高校生は大人たちが思うほどバカではありません。
表では問題を起こさないよう従順に努力しつつも、裏では受験のためのロボットと化したセンコーどもをバカにしていました。
もちろん禁じられた恋愛をしていた奴だっています。
ま、私もその一人だったんですけどね!
とはいえそれは高校生にしてはささやかなものでした。
週末、彼女の行っている手芸教室に私も通い、彼女と一緒に作業ができるよう、話せるよう配慮してもらう……
これは主婦が副業でやっているような小さな教室で、先生が地元の事情について良く分かっていたからこそ実現したものだと思います。
え?
ただ一緒に編み物やらビーズやらいじって話してそれが恋愛なのかって?
答えはYESです。
というか、あの学校の生徒にとってはそれだって大変なことだったのです。
平日は朝から晩までやれ読書だ、やれドリルだ、やれ小テストだと束縛してくるので自由時間がありません。
ましてや私は特進クラスにいたので夜7、8時まで拘束なんてことも普通にありました。
疲れ切っているし次の朝は早いしでとても遊ぼうなんて気にはなりません。
そんな中、「勉強も結構だが、生活力も身につけてバランスの良い人間にならなければならない」と娘を手芸教室に通わせていた彼女の母上は本当に賢い人だと思います。
『別れの危機』
それはさておき、学年が上がるにつれ私たちカップルには1つ問題が出てきました。
それは「志望校が違うということ」です。
私は特進クラスで、彼女は普通クラス。
偏差値も大きく違うのでそうなるのは当たり前ですが、私たちは別れたくはありませんでした。
そこで、私は彼女に合わせる形で志望校をセットしたのですが、当然教師も親も反対しました。
何より特進クラスの生徒が下の大学を第一志望にするなんて許されない、と。
しかも、表立って本当の理由を言うことはできません。
そうなるとやれることはただ1つ。
「彼女の成績を上げて特進クラスの教師も納得の大学に2人揃って入学すること」です。
私は思春期のエネルギーをバネに頑張りました。
彼女の柔らかい身体を抱きたい、胸を触ってみたい、そして話すだけでなくもっとディープなことをしたい、と。
大学に行ったら遊び惚けることができるとかいうバカな話は信じていませんでしたが、少なくとも今の高校の縛りが無くなる、何より受験から解放されるのは確かなこと。
私は彼女のために、そして自分のために図書館や自習室に籠って研究を繰り返し、そしてある作戦を編み出しました。
それが「過去問からヤマを張って、そこを深く掘り下げさせる」ということ。
これなら基礎学力が不安かつ時間が残されていない彼女でもなんとかなる可能性がありました。
『努力の果てに……』
自分がいい大学に入るための勉強は苦痛でしたが、彼女と一緒になるための勉強は逆に楽しいものでした。
明るい未来のために進んでいるという手ごたえをヒシヒシと感じられたからです。
彼女のために作った疑似テストや小テストはノート30冊分以上となりました。
そして……最終的にはその努力は実りました。
2人揃って志望校に合格することができたのです。
こんな努力をしたものだから私はもう過去問の大部分の解答や解法をそのまま覚えてしまっていたような状態でしたし、彼女の方も私を信じてハードなスケジュールに負けず、ついてきてくれました。
おまけに幸運にも、私がヤマを張っていた分野から多くの問題が、過去問と同じようなパターンで出題されたのです。
私たちは喜び、祝杯を挙げました……もちろん、卒業式の直後に!
受験から解放され、高校から解放され、周りの目やプレッシャーからも解放され……
あの時の開放感といったらもう素晴らしいものでした。
そしてもう18歳にもなったしということで、開放感やら高揚感も手伝って2人で思い切って少し遠くのホテルに行き、そこで微妙に高い食事を共にした後、思春期に溜め込んだうっぷんを思う存分爆発させました。
同じクラスにいて顔も毎日合わせるのに周りからのプレッシャーもあり思うようには話せない、それどころか目を合わせることすら避けるといったような状態でしたからね……
そりゃもう、シーツが愛液と精液でぐしゃぐしゃになるくらい激しくヤりましたよ。
もちろん1回や2回では終わらなかったことは言うまでもありません。
おっと、ゴムはちゃんと付けてましたよ?
まあそれもあまり意味をなさないくらいになってましたけど……
でも手すらなかなか触れないという状態からパンツ姿、裸の姿の彼女を触り放題という状態になればそうなるのも仕方ないですよね?
ちなみに、恋愛禁止を律儀に守って禁欲的に生活していた真面目な子は全体的にあまり受験はうまく行っていませんでした。
つまりは大人たちの言っていたこととは反対のことが起こっていたわけですが、世の中というのはなかなか残酷ですよね……。