『小学2年生で!?』
昨今では「初体験」の低年齢化が叫ばれているらしいが、正直なところそれはけっこう怪しいように思う。
なぜなら昔にだって幼くして「初体験」してしまう奴はいっぱいいたからだ。
かくいう俺もその一人だった。
俺の「初体験」は、小学2年生の頃だった。
相手はご近所に住むゆかちゃん。
きっかけは特になんでもないことだった。
『薄い本』
ほとんど事故といっても良いかもしれない。
兄貴たちと共有の自室でゆかちゃんと遊んでいた時、2番目の兄貴の机から何かほんわかした雰囲気の薄い本が落ちてきた。
そして当時の俺は、男がこんな女の子っぽい雰囲気の本を持っているのは妙だな、開けて中を見てやろうと思ってしまったのだ。
しかし賢い読者の皆さんには想像できるでしょう……
これは、同人誌だったのです。
しかもよりにもよってとびっきりエロいやつ!
おまけにジャンルはケモノで、内容はほんわかした雰囲気で描かれたケモノの男の子と女の子が激しく野生的ににゃんにゃんするというものでした。
さらに悪いことに、当時の俺も、当時のゆかちゃんも、これの意味することや本の表紙に書いてある「R-18」の意味をよく知りませんでした。
しかも自室にはゲームの類も、女の子の好きそうなマンガもありません(男の3人兄弟だったので)。
なので絵本の真似をしてみようというのはごく自然な流れでした。
『あの時の俺たちはまだ何も知らない』
ゆかちゃんがふわっとしたピンク色のおぱんつを脱いで、俺はその股に息子を挿入……しようとしましたが、入りませんでした。
息子はふにゃふにゃ。
お股は濡れていない。
何も知らない小学生たちが真似をしてもうまくいかないのは当たり前でしたが、当時の俺たちは俺たちが幼いからうまくいかないんだ、大人になればうまくいくんだと考えていました。
さらに、俺には精液という概念も、愛液という概念もありませんでした。
なのでどういうわけか、男の子と女の子が偶然にも同じタイミングでおしっこを漏らすという事件まで起こりました。
もちろん、本人たちは大真面目だったんですけどね。
え?
結果?
もちろんそりゃあたっぷりと絞られましたよお前ら何して遊んでるんだって。
今思えば、母ちゃんたちは何が起こったかある程度想像できたんだろうなあと……
こりゃあひどい黒歴史だ!
とはいえ、悪いことばかりでもありませんでした。
ゆかちゃんとはこの後、高校進学で離れ離れになるまでの長い付き合いになりましたし、この後ちゃんとしたおセックスもいたしました。
コンドームにローションも完備して、一緒に気持ち良くなることもできました。
また上から2番目の兄貴は今ではとあるインフラ系の会社に勤めていますが、今度は精力的に同人誌を出す側にもなっています。
ジャンルは主にメスケモ(メスのケモノ)やメスドラ(メスのドラゴン……というより竜人)。
しかしなぜか、大学生になるまで童貞だったようです。
……いや、これが普通なのか!
かと思えば1番目の兄貴(地方公務員、一番稼ぎがいい)は今も童貞だったり。
いやぁ、人がいつ「初体験」をするかというのは分からないものです。
それに早ければ早いほどいいというようなものでもないので、初体験の早い遅いで悩むことはないと思います。
初体験の時期が人としての出来に関係するということもないですし。