『僕たちは勝ち組になりたい』
教室に柔らかなオレンジの夕日が差し込んでくる。
教室には俺以外には誰もおらず、静かだ。
当時高校2年生だった俺は、人気のない教室で彼女を待っていた。
なぜなら勝ち組になりたいと思っていたからだ。
ここで言う勝ち組とは「異性の恋人を得てセックスをした者」のこと。
もちろん学校は「高校生がセックスなどといういかがわしく反道徳的なことをするのはけしからん!」という態度だったが、だからこそ男子たちはこぞって勝ち組になりたがった。
彼女との奇抜なプレイや経験人数を自慢するような奴も当たり前にいた。
そんな状況の中、経験人数0の負け組はスクールカースト(学生同士の人間関係)の下位に置かれ、パシられたり理不尽にシゴかれたりいじめられたりというのはわりと普通のことだった。
だから、俺にとってセックスは特別な意味を持っていた。
『勝ち組になるための3点セット』
彼女がやってきた。
そして、誰もおらず、誰もやってこないことが分かっている状況の中、俺たちはさっそく前戯を始めた。
左手で自分のペニスをしごき、右手で激しくガシガシと手マン。
今思えば、彼女は痛がっていたと思う。
しかし性によるマウンティングがはびこっていたのに、正しい性の知識は広まっていなかった。
だから私は気にすることもなくフェラチオの体勢に入った。
そこに「ゆっくりと愛情を持って、2人で一緒に気持ちよくなれるやり方を見つける」という考え方はなかった。
代わりに「勝ち組になるための3点セット」という考え方があった。
それはフェラチオ、顔射、中出し、この3つをこなすのはちゃんとした勝ち組、真の漢になるための必須事項だというものだ。
ゆえに彼女の性癖も何も知らないままフェラチオをさせて、その後彼女の顔に思い切り射精した。
もしかするとこれは「女に対する征服感」という本能のままの感情を追い求めた結果かもしれない。
しかし男子高校生にとってそれは快感だった。
最高に素晴らしく高揚した気分だった。
一人で、自分の右手でするのとは雲泥の差があったと言わざるを得ない。
だから2回の射精を経ても止まらなかった。
むしろ男としての興奮は加速していった。
そしてついに、彼女のヴァギナに精液や唾液でぬるぬるになったペニスを挿入した。
普段はパンツとスカートの中に隠された秘密の花園。
高校生にとってはまさに禁じられた領域。
そんな温かく心地よいぬめぬめとした彼女のお腹の中に、今まさに男として入ったのだ。
それは生物学的に勝利したオスとしての、偉大なる一歩というよりほかないものだった。
俺は正常位で彼女を激しく突き、激しく腰を振り、そして3回目とは思えないくらいの量の射精をした。
射精後、彼女のヴァギナから精液がしたたり落ちるくらいだった。
激しい快楽のためか彼女は見たこともない表情をしていたし、おそらく自分もそんな表情をしていたと思う。
『待ちに待った勝ち組生活』
セックスを経験して、学生生活が変わったか?
結論から言えば、かなり変わった。
スクールカーストの下位層から中間層に上がることによって生活の快適度がかなり上がったし、理不尽に殴られたり仕事や罪を押し付けられたりすることも減りようやく一般的な学生生活を送れるようになった。
とはいえ、セックスの有無で勝ち組、負け組を決めるというのは馬鹿げた風潮だと思う。
しかし当時はまっとうな生活をするためにそうするしかなかったし、環境や風潮に適応せずに声を上げてもそれは泣き事としか見なされない。
この風潮で傷ついた女子はきっとたくさんいるだろう。
だから悪しき伝統は崩し、できるだけ下に伝えないようにするということもまた人として大事なことだと思う。