●単身赴任の事情
まず、たいくつでしょうが、事情を説明します。
私は現在、地方の大きな都市にある製造会社で、検査の仕事をしています。40歳の男性です。
今から5年ほど前のことです。
わが社の製品のひとつを、離れた地方にある会社に製造委託することになりました。
そのとき、私を含め数名の社員が、その会社に技術指導に行くことになりました。
指導の期間は人によりますが、私の場合は1年とされました。
当時、妻がふたりめの子供を妊娠中という事情もあって、私は単身赴任することにしました。
1年を過ごすアパートは、業務委託先の会社が選定してくれました。
どうやら情報の行き違いがあったらしく、メゾネットタイプのアパートでした。1階が1DK、2階にふた間。
そんな縦割りの住まいが4つくっついた建物です。
家族用のアパートで、独りで暮らすには贅沢な住まいでした。
何はともあれ、私はそこで暮らしはじめました。
我が家には、2週に1度の割合で帰ることにしました。
車を飛ばして3時間ほどの距離ですから、さして大変ではありませんでした。
●となりの家の娘さん
私の部屋はアパートの建物の東の端にありました。
東側の窓から、となりの家が見えました。
建物と建物の間が数メートルですから、ほんの間近に見えたものです。
2階の寝室に使っている部屋の東の窓から、となりの家の窓が、ちょうど向かい合っていました。
いつもピンクのカーテンが閉まっている窓でした。
後で知ったのですが、そこはとなりの家の娘さんの部屋だったのです。
となりの家は50歳前後の夫婦と、20歳そこそこの娘さんの3人が暮らしているようでした。
ご家族のどのかたとも、道でときおり顔を合わせることがあり、挨拶ぐらいはしたものでした。
両親が働いていて、娘さんはブラブラしているようでした。
小柄で、ひきしまった体の娘さんでした。
ショートパンツやミニスカートをよくはいていて、形のよいひきしまった太ももを強調していました。
顔は、美人というのではないのですが、ちょっと小生意気な感じが男を惹きつける感じがしました。
●その部屋でのできごと
ある土曜日のことです。
その週末は帰省せず、アパートですごしていました。
昼すぎ、寝室から何気なく東側の窓をのぞいて、「あれっ」と思いました。
となりの家の、あの娘さんの部屋の窓が見えています。
いつもはカーテンが閉まっているのに、そのときは開いていたのです。
あの娘さんがいました。
窓枠に手をついて、顔をこちらに向けています。
その顔が歪んでいます。しきりに頭をふります。
そのうち、娘さんの後ろに男が立っているのがわかりました。
若い男でした。
苦悶の表情を浮かべ、体を揺らしています。
そこまで見て取ってから、あわてて私は窓のカーテンを閉じました。
つまり、その部屋では、あの娘さんが彼氏と立ちバックでセックスしていたのでした。
(すごいものを見ちゃったなあ)というのが私の感想でした。
私も男ですからアダルトのDVDや動画は見たことがあります。
でも、間近に生の性交を見たなんて、初めての経験でした。
ちなみに、私と妻との営みはほとんどが正常位で、立ちバックなんてしたことはありませんでした。
妻の妊娠でしばらくご無沙汰だった私は、たった今見た情景が頭から離れず、自分の手で自分を慰めたのでした。
●娘さんと街で会った
それからしばらくした平日の夕方です。
スーパーで買い物をしていたら、偶然、あの娘さんに出会いました。
向こうもカゴを手に下げ、買い物の途中だったようです。
私は一瞬ギクリとしましたが、ともかく会釈しました。
娘さんも会釈を返してきました。
なんでもないことのようにすれ違おうとしたら、娘さんから声をかけられました。
「おじさん、夕食おごってよ」
「え?」
あっけにとられていたら、さらにこう言われました。
「見たでしょ?」
「なっ……なにを……」
すぐに何を言われたかわかりましたが、うろたえながらも、ごまかそうとしました。
「だぁかぁらぁ、この間の土曜日、あたしの部屋で……ふふふっ、ねっ、おごってくれるでしょ?」
娘さんに指で胸をつつかれました。
私は顔がほてるのを感じながら、娘さんの言いなりになるしかありませんでした。
●夕食
私は娘さんを近くのファミリーレストランへつれていきました。
「こんなとこ? ま、いっか」と言いつつ、彼女はさして不満そうでもありませんでした。
彼女が注文したのも、さして高くない料理でした。
ふたりであまりしゃべらずに食事をしていたら、ふいに足をからめられました。
テーブルの下で、細いなま足を、私の足首近くにからめてきたのです。
「お……おい、よせよ」
「ふふふっ」
私はドキドキして彼女の足から逃れようとするのですが、逃がしてくれません。
「ねっ、おじさん、この間、まずいもの見られちゃったからさ、口止め料払うよ」
「?」
「この後、いいとこ行こう。ねっ」
彼女が何を言っているのか、周りから朴念仁と見られている私にもわかりました。
「ばか。大人をからかうもんじゃないよ」
「だって、ほしいでしょ、口止め料。でも、いっぺんだけだよ?」
私は唾を呑みこんで、彼女の顔を見つめました。
「ねっ、いっぺんだけ。うふふふっ」
テーブルの下では彼女のなま足が私の足にしつこくからみついたままでした。
●その後
結局その後、私たちはラブホテルへ行って、男女がすることをしてしまいました。
私が浮気したのは、後にも先にも、そのときだけでした。
そして、その後、彼女は言葉通り、誘惑してくることはありませんでした。
たぶん、ちょっとした気まぐれだったのでしょう。
1年後、私は無事に仕事を終え、我が家へ帰りました。
以上が私の体験談です。