「憧れ」
中学一年生の頃、私は近所のテニススクールに通っていました。
テニス自体は、小さい頃からやっていたのですが、その頃にはもう飽きていました。
それでも、テニススクールに通いつづけていた一番の理由は、生徒の中に、気になる人がいたからです。
その人は中学三年生の香織さんという方で、切長の目が特徴の凛とした美人でした。
テニスで鍛えられて程よくついた筋肉も魅力的で、いつもポニーテールにしていて、プロポーションも抜群でした。
香織さんは部活でもテニスをやっていて、惰性で続けていた私とでは、テニスの腕前が全然違います。
スクールでは三段階にクラス分けされていて、私は真ん中の中級クラス、香織さんは上級でした。
そんなわけで、内心憧れていたのですが、なかなか接点を持てずにいました。
「きっかけ」
そんな日々を過ごしていたある日、中級のコーチが突然来れなくなって、上級と中級が合同で練習することがありました。
その日はコーチが一人しかおらず、しかも人数が倍近くいて、とても一人ひとり指導していられないという理由から、上級の人と中級の人がペアを組んで、上級の人に教えてもらうということになりました。
そしてなんの偶然か、私は香織さんとペアを組むことになったのです。
ペアを組めてたといっても、普段話したこともありませんし、いつも凛としていて、なんとなく近づきがたい印象だったので、距離感をつかめずにいると、意外なことに、香織さんから話しかけてきてくれて、話しているうちに緊張もほぐれていきました。
その日の練習では、私の苦手なショットを克服しようということになって、バックハンドを教えてもらったのですが、困ったことがありました。
教え方は上手いのですが、教える時の距離感が近すぎるのです。
香織さんは気にしていない様子でしたが、中学一年の私には、刺激が強く、そわそわしました。
ですが、教えてもらっている立場なので、なんとかテニスに集中しようとしていました。
打ちあってみて、香織さんが修正点に気づいたら、近づいてきて教えるという流れを、何度か繰り返したある時、ふと、甘い匂いがすることに気がつきました。
そしてそれが、香織さんの匂いだということに気づいたとき、下腹部が否応なく熱くなりはじめてしまいました。
結局、その後の時間は、反応してしまいそうになる下半身をなだめることに必死になって、あまりテニスに集中できませんでした。
「はじめての自慰」
家に帰ってからも、香織さんのことを思い出して、悶々としていました。
なんとか寝ようとしたのですが、寝つけません。
下半身はいつもと違う感覚でした。
何かが溜まっていって、出たがっているという感覚がありました。
なんとか楽になる方法はないか考えていると、学校で、友達が話していたことを思い出しました。
その友達によれば、竿を持って、皮を上下に動かせば、白い液体が出てきて気持ちいい、とのことでした。
なぜかわからないのですが、自分もその白い液体を出せば楽になれると、直感的に理解しました。
椅子に座って、パンツを脱ぎ、震える手で、ゆっくり竿をしごきはじめました。
最初はなにもなかったのですが、しばらくすると、腰からぬるま湯につかったような快感が押しよせてきました。
そこからは夢中で、香織さん凛とした顔と甘い匂いを思い出しながら、必死になって手を上下に動かし始めました。
そのうちに、何かが腰から上がってくる感覚がしてきたかと思うと、脳天に稲妻が落ちたかのような鋭い快感がして、射精しました。
経験がなかったので、どれほど精子が出るか分からず、ティッシュ一枚で足りるだろうと思って受け止めましたが、当然、一枚では吸収しきれず、染み出してきて、慌てて追加で何枚かのティッシュを出して包みました。
すべてが終わり、興奮も収まって、なんとも言えない虚脱状態におちいったのをおぼえています。
それから、香織さんと何度か顔をあわせる機会があったのですが、なんとなく後ろめたいような感覚があり、目を見て話せませんでした。