『図書委員のこと』
ずっと読書が好きで、学校の図書室に入り浸っていた私。
委員もできればずっと図書委員をやりたいくらいだったけど、通っていた小学校、中学校とも「連続して同じ委員はできない」というルールがあり、小学校高学年から仕方なく、図書委員と違う委員とを交互にやっていた。
同じように二期に一回図書委員をやっていて、私と同じタイミングで委員になっている先輩がいた。
一年上の男の先輩で、何度も図書委員で一緒になるうちに妙に気に入られたようで、図書委員以外でも学校内で会うと、にこっと笑いかけられるようになった。
先輩と一緒にいる男子もニヤニヤした感じでこっちを見てくるので、多分何らかの話を先輩から聞いていたんだと思う。
そんな頃の話。
『先輩とのこと』
図書委員は、図書室での貸し出し係が普段の業務だった。
当番を決め、昼休みと放課後に貸し出しカウンターで番をする。
基本的に二人で組むことになっていて、違う学年の図書委員とペアを組むというルールのもとに、担当の先生がランダムで決めていた。
ランダムとはいえ、図書委員の数もそんなにたくさんはいないため、学年の違う先輩とは定期的にペアを組むことになる。
図書室に来る生徒もそこそこいるため、いつもは貸し出し業務をしてるうちに下校時間になることも多いが、先輩とペアの時は割りと暇な時間が多かった。
最初の頃は、貸し出しカウンターで先輩と横並びに座り、何気ない話をしていることが多かったが、いつからか、先輩とのペアの時に先輩が妙に近い位置に座ってくるようになった。
足が触れるくらいぴったり横並びになったり、書き物をしてる私の手元を覗きこむときに、顔がすぐ近くにきたり。
恋愛に疎い私だったが、さすがにその頃になると少し意識するようになっていた。
年上に憧れる年齢だったというのもあるのだと思う。
先輩のことが好きかどうかはわからないけど、好きになるのならこんな人かな、とは思っていた。
『ある日のこと』
先輩は割りと人気のある人で、学校内で見かけるときは、大抵誰かと一緒にいた。
同性の友達はもちろん、女子に囲まれてることも多く、「モテるんだなー」と思って見ていた。
ただ、その日見たのは、校舎裏で女子と二人っきりでいるところだった。
会話の内容は聞こえなかったけれど、女子の真剣な表情からすると、多分告白していたんだと思う。
見ていてはいけない気がして、すぐにその場を離れたので、その後どうなったのかとかはわからなかった。
次の日、私は先輩とペアの貸し出し業務担当だった。
また妙に近くにくる先輩。
ただ私は、「もしあれが告白で、先輩がOKしてたら、もう先輩に近寄っちゃいけない」となんとなく思い、近寄る先輩から離れようとしていた。
いつもは近寄っても離れようとはしない私が、その日は離れようとしていたので、先輩も何か気づいたよう。
突然ぎゅっと私の手を握り、「どうした?」と真剣な顔で聞いてきた。
どっちかっていうとチャラチャラした雰囲気の先輩。
いつも笑ってることが多い先輩の、突然の真剣な表情にドキドキして、顔を見れず背けてしまう。
その行動で更に何かあったと思ったのか、先輩は背けた私の視線の先に顔を近づけてきた。
何か答えないといけない、そんな雰囲気に圧され。
「この前…見ました。先輩」
「校舎裏で、二人で喋ってたの…」
「あれって告白ですか?付き合ってるんですか?」
二人で話してる時、声も聞こえなかったし、告白かどうかなんてわからないのに、話してるうちに段々そうじゃないか?そうに違いないと思い込み始める私。
そんな私に、先輩は。
「告白じゃなかったけど…告白だったとしても断ってるよ」
「だって俺好きな人いるし」
手を掴み、逃げられない状態で見つめられたままの私。
「お前のこと好きだし」
『気持ちの自覚』
先輩のこと多少は意識してる、程度の自覚だった。
先輩が他の女子と喋ってるのを見たときも、多少モヤモヤしたものの、「他人の告白シーンを見てはいけない」と思っただけで、嫉妬とか、先輩を取られたくないって気持ちだなんて考えなかった。
でも先輩に好きと言われ、戸惑いながらも「嬉しい」と思って。
嬉しいと思うってことは、私先輩のこと好きなのかな。
ということは、先輩が女子と喋ってるのを見たときのモヤモヤはヤキモチだったのかな。
頭の中もごちゃごちゃだし、手を握られてるドキドキもあるし、先輩の真剣な表情が目の前にあるしでいっぱいいっぱいの私は、この状況に耐えられなくなって泣きそうだった。
そんな私に気をつかってか、先輩はちょっとだけ顔を離し、握ってない方の手で背中をポンポンしてくれた。
テンパって恥ずかしくなった私が先輩の胸に顔を埋めると、更にポンポンを続ける先輩。
「落ち着くの待ってくれてる。優しいなあ…」
そう思った私は落ち着くと同時に、素直になれた。
「私も先輩のこと、好きです」
『あふれる気持ち』
落ち着いて、先輩の顔を見ながら気持ちを伝えられた私。
先輩はにこっと笑い、「良かった」と言った。
ちょっと恥ずかしそうな顔をしながら、掴んだままの手に力をこめたり、指を私の指と絡めたりしてくる。
くすぐったくてやり返したりするうちに、自然と私と先輩の体がぴったり寄り添うようになり、そのままお互い横を向いて、キスをした。
先輩がどうかはわからないけど、私にとっては生まれて初めてのキス。
「こんなに唇って敏感だったんだ」
そう驚くくらい不思議な感触で、もう一回したい、もう一回と何回もキスした。
そのうち先輩が舌を入れてきて、その感触にも驚いて、止まらなくなった。
口の中で先輩の舌を夢中で感じて、舌がなくなると物足りなくて、おねだりするようにキスをして、舌が入ってくるとまた夢中になって。
先輩が背中に手を回し、制服の中に手を入れてきて、シャツの下の素肌に触れてきたのも気にならないくらい、キスに夢中になった。
『それ以上の行為』
どれくらいの時間、キスしてたんだろう。
初めてのキスの感触からちょっと落ち着く頃、私と先輩は並んで座ったまま横向きに抱き合うような状態になってた。
もっと触れたいけど、横向いたままなのはしんどい。
そう思った時先輩が、「こっち向きに、足の上に座って」と言ってきた。
頷いて、足の上に乗ろうとして気づく。
かなり足を開かないと、跨がって座れない…。
「スカートだし、足開くの恥ずかしい」「重くないかな」
躊躇しながらも、椅子に座った先輩の足の上に跨がる。
いつも見上げてた先輩の顔が、自分の視線の下にあって変な感じ。
キスすると、顔の角度もさっきと違ってて感触が違う。
太ももの下に感じる先輩の足の温かさと、柔らかさ。
正面から抱き合うことで感じる、胸越しの先輩。
いろんなところから感じる先輩にいっぱいいっぱいになってる間に、先輩の手はシャツの中で私の背中を撫で、そしてブラのホックを外した。
途端にテンパる私。
「えっ、ホック外された?何?どうなっちゃうの?」
「ブラ取られるってこと?え、ここで!?」
頭の中で疑問がぐるぐる。
でも口からは一言も言葉が出てこない。
戸惑ってるけど、止めたい訳じゃなくて、怖いけど、先輩に全て任せてしまいたい、そんな感じで黙って先輩に抱きついたままになる。
制服の中で浮いたブラの下に、先輩の手が入ってきた。
私の左右の胸を両手でそれぞれ包みこみ、優しく撫でる。
時々乳首に手が当たり、思わず声が漏れそうになる。
もっといろいろして欲しい…そう思った時、下校時刻を告げるチャイムがなった。
『その後』
突然鳴ったチャイムに、私も先輩もびくっとし、しばらくたってから周りを見る。
図書室は、いつの間にかすっかり暗くなってた。
「先輩のえっち」
恥ずかしいのもあって、ちょっと怒ったような口調で言う私。
「ごめんごめん」
笑いながら先輩は、「今度、続きしよ」と私の耳元でささやく。
続きが何か想像してしまい、恥ずかしさが極限になった私は、慌てて立ち上がる。
ブラを直し、服を整えてから先輩を見ると、先輩は座ったままじっと私を見つめてた。
髪がくしゃくしゃになってないかな、そんなことを気にしながら先輩に顔を近づけ、何回目かわからないキスをした。
「今度、続きしよ」の続きがどうなったかは、内緒です。