友達でも処女喪失した人が増えてきて焦っていたのは確かだった。
でも身近な友達からの彼氏ができたとの報告に不思議と突き動かされるようにして、出会い系に登録した。
当時好きな人とも上手くいってなかったため、本当に誰でもよかった。
早く処女喪失して、みんなといっしょになりたかった。
馬鹿だったと思う。
その後、会うことになってのは23歳のテレビ局勤務の男の人。
スマートな長身で、イケメンの部類に入った。
横浜のファーストフードで待ち合わせをした。
目的は事前にちゃんと伝えてある。
「聞いていたのと全然違うね、可愛いね」
とりあえず挨拶をして世間話をしている最中も、男は仕切りにそう言って誉めてくれた。
リラックスできたのは間違いなかった。
動してホテルを探す。
繁華街だったが、処女らしくあまりそういう場所に詳しくなかった私をリードするように、男はスイスイと目的地まで私の手を引いて歩いて行った。
薄暗く、しかし煌びやかな入り口を入ると、未知の世界が広がっていた。パネルに表示される数々の部屋。
男はその中から手慣れて2番目に安い部屋を選んだ。
休憩とは?何時間?延長料金は取られるのか?など、その時の私はこれからSEXをするというのに別の事で頭がいっぱいになっていた。
部屋に入ると、特有のタバコ臭が鼻をついた。
ソファに座って、手を繋いでキスをした。
初めて舌を入れられたが、気持ち悪さしかなかった。
シャワーは別々に浴びることになった。
こういうところでシャワーを浴びるのは初めてのため、タオルの場所とか浴びたら何を着るのかなど、疑問だらけで余裕はなかったように思う。
先に浴びていた男は、私がシャワーから上がるとベットにゆったり腰掛けて待っていた。
「お待たせしました」
そう言って隣に上がると、ゆっくりと引き寄せられまたキスをされた。
舌がさっきとは違って激しく絡んでくる。
なんだかいやらしくて、嫌ではなかった。
ゆっくりと押し倒され、バスローブを裸させられる。
露わになった首元や胸にいっぱい愛撫をされた。
乳首を触られると気持ちよかった。
処女らしく、初めての感触に感動しながら身を委ねていた。
フェラチオも初めて行なった。
何しろ、男性器を、まじまじと見るのも初めてのため、ぎこちなく、きっと相手は気持ち良くなかったと思う。
そうしているうちに相手は枕元からゴムを取って装着する。
いよいよだ、いよいよ処女喪失の時だ。
「濡れてるよ」
男は入念に確かめる、何だかいやらしくて声が出た。
しかし、男があてがって腰をすすめた瞬間、体験したことのない痛みが下半身を襲っていた。
「い、痛い、痛い」
思わずそう叫んでいた。
「ごめん、痛い?」
相手もびっくりして腰を止める。
それでも少しずつ侵入してくるペニス。
快楽など程遠い、拷問に近い痛さだ。
入れきったところで、あまりに私が痛がったのか、はたまた濡れなくて痛かったのか、男はペニスを抜いてくれた。
「ごめんね、初めてだもんね、痛いよね」
そう言って抱き寄せて頭を撫でてくれた。
申し訳なさが胸いっぱいに広がる。
後悔も広がる。
早く捨てたかった処女、これで貫通した。
しかしこの痛みは予想外だ。
後悔はしていないが、もう自分の中で何が萎えてしまった。
結局その日は最後までせずに、男とは解散した。
処女は卒業したが、SEXは未遂という中途半端な状態だったが、もう自分の中で焦りはなかった。
それから男とは連絡をしばらく取っていたが自然消滅をしてしまった。
本当に悪い事をしたとおもっている。
その後、私にも無事に彼氏ができて、sexも、最後までできるようになった。
処女喪失を軽率にしたのは誰にも言っていない。
しかし後悔はしていない。
ただ、当時会ってくれた男には感謝している。
おかげで今も沢山の男と経験ができているから。