『お酒に飲まれた女子大生』
お酒は心と魂のオアシスということに異を唱える人は少ないでしょう。
お酒は人を素直に、そしてオープンにします。
しかし、それは人の秘密、裏の顔を暴く力もあるということ。
今回はお酒で裏の顔が暴かれてしまったある女子大生のお話です。
その女子大生を、仮にAさんとしておきましょう。
Aさんは俺のサークルの後輩で、たまに話したり一緒に勉強したりする仲でした。
ちなみに俺たちのいたサークルはコンピュータ研究会。
とはいえまあ、実態はコンピュータでゲームばっかりだったんですけどね。
今風に言えばe-sportsといったところでしょうか。
おっと、ゲームの製作やプログラミング講座といった真面目な活動もやってましたよ?
それはさておき。Aさんは酒癖が悪いことでよく知られていました。
具体的には下ネタばっかり話すようになるのです。
普段はそういった話題は嫌いなのに。
しかし、男性陣にとってはそれはそれほど悪いことではありません。
言っている内容はぶっ飛んでいたり、めちゃくちゃだったりすることも多々ありましたが、酒の席だということで皆笑って聞いていました。
彼女が自らの裏垢を大公開してしまうまでは。
『不明なアカウント』
彼女がサークルの皆に裏垢を見せた翌日、部室ではその話題で持ち切りになっていました。
なんせモロ出しの画像まで載ってるわけですから、男性陣が行って確かめないわけがありません。
しかも中にはトイレに行ってシコってるっぽい奴まで出る始末。
これを見て俺は、なかなかえらいことになったなと思いました。
ところが、俺以上にびっくりしていたのがAさん本人。
なんとAさん、そんなアカウント知らないと言うのです。
それも本気で。
それどころかサークルの誰かが盗撮してたんじゃないなどと言う始末。
しかし、そのアカウントには下半身裸でノリノリなポーズをキメている写真まであるわけでそんなわけがありません。
ともあれ、さっさと消した方がいいんじゃないかと俺が言うと、Aさんはまた意外なことを言い出しました。
アカウントのパスワードが分からないから消しようがないし通報して運営に消してもらうしかない、と。
『一件落着……?』
ところがどっこい、お酒を飲みだすとAさんはそのアカウントのことをよく覚えていました。
これに周囲の男性陣は困惑。
とりあえず何かの問題になって停学やら退学やらになったら大変だから、とっとと消した方がいいよとある男が言うと、Aさんはそいつを襲ってしまいました。
上半身は服がはだけてブラが見え、下はパンツ半脱ぎの状態です。
これには当然周りの席も大興奮。
しかしこれ以上大事になるとマズいので、その様子をコートやらジャンパーやらで隠しつつ、俺はどうしてそんなことをするのか聞きました。
すると答えは「自分を傷つけたいから」。
ますます訳が分かりません。
結局、そのアカウントは俺たちが運営に通報して無事に削除となりました。
しかし、男性陣たちはそのアカウントにあった画像をしっかりと保存していたことは言うまでもないですし、それをオカズにしている奴もいるという噂。
まあ、くぱぁ画像まであるんですから当然そうもなりますよね……。
しかし、なんとなくですがまた別に裏垢を作っているんじゃないかとか、他に危険なことをしているんじゃないかとか、そういう心配が消えることはありませんでした。
結局そういうものは見つかりませんでしたが。
今では彼女とは連絡は取り合っていませんが、彼女が優しくて彼女を大切にしてくれる彼氏と出会い、癒されていることを願うばかりです。