『消去法で選択したマッチング相手』
「きゃははは、それマジ! ばっかだねぇ!」
今、自分の前には若い女の子が座っている。
恐らく友人であろう電話相手とデカい声で通話している。
本来こんな若い子との関わりなどあるはずの無い自分と彼女が同じテーブルに着いているのはここが相席屋でランダムにマッチングした結果である。
「うん! じゃねバイバーイ。ふぅ」
どうやら電話でのやり取りが終わったようだ。
こちらはすることも無いので黙々と料理を口に運んでいた。
「なあ、おっさん」
こちらを無視して食事を始めると思ったら何故か話しかけてきた。
「なんだ小娘」
こちらの返答に少し驚いた顔をする。
「お、てっきり陰キャのコミュ障で話しかけてこないのかと思ったら意外とトゲのある返しができるじゃん」
「少なくとも先ほどからの態度で礼節を尽くす必要のある相手ではないと判断できたからな」
「えー、マッチングが成功したらデートするかもしれない相手だよ?」
「お前くらいの奴がこんな場所に出会いを求めて来てるとも思えん。タダ飯が目当てなら早く食ったらいいだろう」
食後のお茶を啜りながら彼女の方を見る。
少し不満そうな表情を浮かべながら料理を口に掻き込んでいく。
「あ、デザートにケーキも頼んでいい?」
「っち」
「ワオ、これ見よがしの舌打ち」
こうやって確認してくるのはこの店の女性の食事代は男性側が支払うシステムになっているからである。
男女平等など正面から否定しに掛かっている。
「好きにしろ」
「わーい!」
その後、席替えの時間になり複数の女性と相対することになった。
「二度と来ねぇ」
一回り二回り年上の女性に職業や収入について根ほり葉ほり質問され、聞いてもないのに専業主婦を希望していたり、やたら距離を詰めてこようとしたりと精神をすり減らされる時間が過ぎた。
「あー、マッチング希望出さないとかー」
事前にインストールしていたアプリにマッチング希望を求める画面が表示されている。
すでに疲弊感で嫌になっていた。
選択肢には一応、希望なしの項目があるがそれを選択するのも今日と言う日を無駄にしたと認めるようで不満が残る。
「あいつならマッチングもしないだろ」
最初に同じテーブルに着いた小娘にマッチング希望を出す。
「お客様、おめでとうございます。見事マッチング成立です」
そろそろ退店しようと準備していると店のスタッフに呼び止められ、店の奥の方へと案内される。
店員に着いて行くとマッチング希望を出した小娘が不機嫌そうに携帯を弄りながら待っていた。
案内を終えると店員はそのまますぐにその場を後にし小娘と二人きりされる。
「なんで私にマッチング希望出してんだよ」
「他に選択肢がなかったんだよ。お前こそなんで俺なんだよ」
「おっさんと同じ、他に選択肢がなし! おっさんの後のおじさん達は自分語りやら自慢話やらでいい加減嫌になってたの」
「マッチング希望無しでよかったんじゃないか」
「たまにはちゃんとマッチング希望しないと利用しにくくなるじゃん」
「そんなもんか」
「そんなもんよ」
何となく視線が合うとお互い並んで歩きだす。
「帰るか」
独り言のつもりで呟いた。
「帰れない」
小娘からそんな言葉が返ってくる。
別に彼女の事情に首を突っ込むつもりもないので詳しい話を聞く気はない。
だが、返事をされてしまった以上は何かを聞き返さないといけない気がした。
「ならどうする?」
「ん、とりま今日はあそこに泊まろうかなって」
彼女が指で示した方を見ると所謂男女でご休憩するホテル。
「ああ言うとこって一人で入れるのか?」
「入ろうと思えば適当な言い訳で入れるだろうけど、今日は一人じゃないし」
服の袖を引っ張られる。
「ホ代出してくれたらサービスするよ?」
袖を引っ張ている手と逆の手を妖しく動かしながらそんなことを囁く。
「はいはい」
何となく彼女を放置するのに気が引けてその誘いにホイホイ乗ることにした。
部屋に入り彼女がシャワーを浴びた。
「おっさん、シャワー次どぞー」
「ああ」
もしかしたら自分がシャワーを浴びている間に財布から現金を抜かれて逃げられてるかもしれないと考えが過ったが彼女は部屋の中で待っていた。
「寝るか」
「ほいほい」
ベットの上で待っている彼女をスルーしてソファの方へ向かう。
「おっさん? 寝るんじゃないのか?」
「ああ、俺はソファでいいからベット使いな」
そんな俺の態度に彼女はキレた。
「は? ふざけんじゃねぇよ! ここまで来てヘタれんな!」
ベットから降りて彼女がコチラに詰め寄ってくる。
「それとも私じゃ勃たないってか!?」
「いや、そんなことはないが」
勢いに推されて仰け反る。
「なら!」
彼女に股間を掴まれた。
「四の五の言わずに抱け」
そのまま股間を弄られる。
「なんだ、ちゃんと大きくなってんじゃん」
俺の生理反応に対して彼女が攻撃的な笑みを浮かべる。
ソファに座るコチラを彼女が跨る。
膨張した俺の相棒を彼女は自分の秘所へと押し当てた。
「ちょっと待てくれ、まだゴムをつけてないだろ」
「サービスするって言ったろ?」
静止しようとするコチラに愉しそうに嗜虐的な笑みを浮かべてそのまま彼女の下の口が呑み込んでいった。
「挿ったぁ」
彼女のナカは俺の相棒を絞り取るためにうねっている。
「っはん、っはん」
上下運動を繰り返す彼女に押さえつけられる形で我慢を強いられ限界は近い。
「そ、そろそろ抜いてくれ、もう発射る!」
「っサービス! っサービス!」
そして、止めることができずに限界がやってくる。
「っああ!」
「あっはぁ、ナカに出てるぅ」
彼女の愉しそうな笑みはより一層深くなっていく。
その後も彼女が満足するまで搾り取らた。
翌日、俺が目を覚ますと彼女の姿はすでになかった。
連絡先の交換どころか名前すら聞きそびれていたことに気が付く。
二度と来るもんか、と思った相席屋に足が向かう。
「あ、おっさん」
「よお、小娘」
その日のマッチング希望は決まった。