レズ・ゲイ・バイ

クラブでゲイの外国人にナンパされた話。出会いを求める人が多いようだ

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[クラブへ行こう!]

もう昨年のことだから、随分前の話になってしまうけれど。

元々長いこと音楽をやっていて、当時クラブミュージックを勉強しているという友人が居た。

何でも、彼の友人であるプロのDJに誘われて、その友人主宰のクラブイベントに出演することになったとか。

ロックバンドのギタリストとして長く音楽活動をしていたものの、クラブでのDJとなるとやはり勝手が違うらしい。

強気な彼には珍しく、こんな話を切り出してきた。

「実は、一度本場のクラブの様子を見て、色々勉強しておきたいんだよ」

とはいえ、彼は若干酒乱の気があり、酔っ払うと普段の強気が7割増しになって、必要以上に酒を飲んでぐでんぐでんに酔っ払ってしまうことが常だった。

クラブ内にはお酒を売ってくれるバーカウンターもある。

「カミさんからは、誰か付き添いがいれば行っても良いって言われてるんだけど……」

要するに、僕にお目付け役になって欲しい、という話らしい。

正直、僕自身はクラブどころか、ライブハウスにさえ足を運んだ事は皆無だったのだが、いわゆるデジタルサウンドの楽曲は好んで聴いていたし、そういう普段行かないような場所に対する興味もあったので、

「良いよ。一緒に行こう。酔っ払ったら背負ってくよ」

と、軽い気持ちでOKをした。

一応、付き添いを頼んだ手前、彼なりに色々気を回してくれたらしく、僕が好きな「cupsule」というアーティストが出演するクラブと日程を提示してくれた。

「cupsule」は、「きゃりーぱみゅぱみゅ」や「Perfume」など、著名なアーティストのプロデューサーを勤めている「中田ヤスタカ」がボーカルを勤める「こしじまとしこ」と共に随分前から活動しているユニットで、ドラマ「Liar Game」などのサウンドを手がけたことで有名だ。

そんな中田ヤスタカの生のDJを聞けるというのは、嬉しいことこの上ない。

件の友人と共に、ワクワクしながら渋谷の某有名クラブへと、当日足を運んだ。

 

[謎のインド人(?)現る]

中田ヤスタカ氏が出演するのは、宴もたけなわになった深夜過ぎらしく、それまでは他のDJたちのパフォーマンスや、クラブの雰囲気を見て回った。

普通の生活では絶対に体感できないような、何ともいえない独特の空気感で、クラブ内は満たされていた。

熱気と、アルコールやスモークの匂い、大音量で流れるクラブミュージック。

元々、あまり人の多い場所が得意ではない僕は、やや人当たりして疲れてしまい、3つあるフロアの内、中田ヤスタカ氏が出演する予定のメインフロア、その開いていたテーブルのスツールに腰を下ろし、友人と休憩することにした。

友人は楽しそうに音楽に聞き入っており、

時折、僕に声をかけてくるのだが、周囲の爆音にかき消されて殆ど聞こえなかった。

やがて友人が「ちょっとトイレ行って来る」と言い残して席を外した。

 

その直後のことである。

僕が座っているところに、一人の男性が近寄ってきた。

見たところ、インドやパキスタンといった辺りの人種かなと思える風貌。

彼は僕に軽い挨拶をしてから、いきなりこう切り出した。

「アー・ユー・ゲイ?」

一瞬、どういう意味なのか解らず聞き返したが、質問は相変わらず

「アー・ユー・ゲイ?」。

……どういう意味だろう? と、困惑した。

考えを巡らせて、ようやく思い至ったのは、

「もしかしてこれ、ナンパじゃないのか?」

という、意外だがシンプルな結論だった。

残念ながら(?)、僕は女性が好きな異性愛者なので、最初は、「アイム、ノーマル」と答えようとした。

……が、それは「異性愛者がノーマルで、そうでないのはアブノーマル」という風に、差別発言として受け取られ、相手が気を悪くしてしまうのではないかと思い直し、色々考えた結果、口から出た言葉は、

「ノー。アイム、ストレート」

という、結局大して変わらない表現になってしまった。

男性はそれでも食い下がって、英語で話かけてくる。

「今日は楽しんでる?」「何飲んでるの?」

声のかけ方が、やはりナンパのそれだなぁ……と内心苦笑いしつつ、簡単な英語で答えた。

その時に飲んでいたのは、珍しくて殆ど飲んだことがないという理由で、たまたまバーカウンターで売っていた「クランベリージュース」だったのだが、何故だか男性はそれを聞いて更に喰らいつき、

「ねぇ、本当にゲイじゃないの?」

と質問を繰り返してきた。

後で別の友人に聞いたところ、根拠は無いそうだが、何故かクランベリージュースがハリウッドの映画などで、「ゲイが飲んでいそうな飲み物」として扱われていたらしいので、もしかしたら、その謎のインド人風男性もそう捉えたのかもしれない。

 

結局、しばらく会話をした後、丁度友人がトイレから戻ってきたこともあり、その男性は僕と友人に握手を求め、そのまま去っていった。

友人はその話を聞いて爆笑していたが、何とも不思議な体験だった。

 

[クラブという場所]

実はその後もよくよくクラブ内を見ていると、女性同士のカップルや、男性同士のカップルなどが結構な数いた。

その中の女性カップルの一組が、お互いの耳を舐めあっている場面に遭遇して、あまりのエロティックさにドギマギしてしまうという事もあった。

そもそも、ハウスミュージックなどの音楽は、同性愛者たちが自分達の社会的な地位を向上させるためのカウンターカルチャーとして発展したという経緯があるらしい。

そう考えれば、ゲイやレズビアン、バイセクシャルがクラブ内に多くても、実はそれほど不思議な話ではないのかもしれない。

友人に教えてもらったことだが、クラブには2種類あるらしい。

純粋に音楽を楽しむ、音響にこだわったタイプのクラブ。

そしてもうひとつが、「ナンパ用のクラブ」だ。異性であれ同性であれ、出会いを求める男女が訪れ、

お互いに合意の上で、「そういう仲」になる。

僕らが行ったクラブの周囲には、大小様々なクラブが存在していたが、

それと同じかそれ以上に多いのは「ラブホテル」だ。

クラブで出会った二人が、熱い一夜を楽しむ場所も完備されているとなれば、そういう流れになるのは、自然なことかもしれない。

僕らが行ったのは音響に拘ったタイプのクラブだったが、それでもナンパをしている人々、カップルでじゃれあう人々は多かった。

「ナンパ用のクラブ」は、もっと凄いことになっているのかもしれない。

中田ヤスタカ氏のパフォーマンスも、勿論個人的に感動したが、こんな不思議な世界が、僕の知らない場所に展開しているという事実も、とてつもなく衝撃的で、面白かった。

出会いを求める人達は、クラブに行ってみては如何だろうか?

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