『その子との出会いは』
高校に入学してまもなく、ある程度クラスの中でのグループが出来上がってきた頃、僕は男子の少人数グループに入っていた。
そのグループはどちらかというと大人しい面々による構成で、チャラい奴らとは遠いものであった。
そのグループには1人だけ、女子も混ざっていた。
ここではAと呼ぶことにする。
Aはクラスで一番頭が良く、これまたどちらかというと大人しい性格。
かと思うと、グループの中では天真爛漫な一面も見せてくれたのであった。
最初の頃は、クラストップという学力に少しばかりの嫉妬を覚え、僕の方から話すことは多くなかったが、それも次第に解消され、しばしば勉強を教えてもらうこともあった。
Aは茶道部に所属していて、部室となる作法室は勉強会の会場となることも多かった。
畳の敷かれたリラックスできる空間で、部活動のない日はそこを解放してもらい、こっそりとたむろしていたものだ。
今思えば、その作法室という校内においても異質な部屋の存在が、えっちな体験をさせてくれた要因の一つとも言える。
『2人きりの作法室』
毎週火曜日は僕もAも部活動が休みだった。
グループ内の男メンバー他2人は生徒会に所属していたため、放課後もあまりのんびりできない状況であった。
もっとも、授業が終わって1時間ほど作法室で遊んだ後、その2人は生徒会の活動に行くというのが毎週火曜日の流れである。
そのため、夕方から完全下校時間までの間は比較的Aと2人きりになることが多かった。
2人きりの作法室で、きっかけは何だったか今では覚えていないが、話の流れで『王様ゲーム』をしたことがある。
といっても、一般的に言われるようなくじ引き形式の王様ゲームではなく、1対1で何かしらの勝負をし、勝った方が負けた方に命令できるという2人だけのルールで遊んでいた。
指相撲や手押し相撲といった勝負で競っていた記憶がある。
Aは比較的華奢な体つきであったため、手押し相撲では僕の勝率が高かった。
そのため、思いきった命令はせずに、可愛らしい仕草をしろ、等の命令ばかりを繰り返していた。
小さい命令ばかりをしていたためか、Aが突然「もっと大胆なの命令していいよ?」とイタズラな笑みを浮かべて言ってきたのである。
そのときの興奮感というか、何とも言えぬ衝動は未だに忘れられない。
次第に命令はAの身体を触らせるにシフトしていき、生まれて初めて、女子の身体を愛撫をした。
Aの乳首が勃起している様を見て、乳首が勃起するということに小さな感動を覚えたものである。
なんといっても、学力優秀で真面目なAがこんなことをさせてくれたことに驚いたと同時に凄く興奮した。
『ペッティングを経て』
王様ゲームは、えっちなことをするための口実に過ぎなかった。
やがて僕とAは王様ゲームをすることなく、お互いの身体を触り合った。
その頃には、制服を汚したくないからというAの要望で、お互い全裸でペッティングするようになっていた。
今考えればいつ教師が作法室に入ってきてもおかしくない状況で、よくそんなことができたものである。
だが、当時はAの身体の温もりと感触、吐息や喘ぎ声、愛液といったもの全てに夢中であった。
ある日、毎週の恒例行事と化したペッティングの最中、ついにペッティングだけでは物足りないということを自覚した。
普段は対面して抱き合う形でペッティングをしていたが、その日は僕が押し倒した。
いつもと違うことに気づいたAは、セックスをしようとする僕の行動に気づいたようで咄嗟に拒絶した。
Aは中学の頃にコンドーム無しでの性交の経験があるらしく、それで怖がったらしい。
結局のところその日は諦め、いつも通りのペッティングで終わった。
『誰もいない僕の家で』
秋頃にはAと僕は付き合っていた。
僕にとっては初めての彼女である。
その頃になっても未だにセックスまでは至っておらず、相変わらずペッティングのみ。
というのも、コンドームを買う勇気がなかったのである。
通販で買えば良かったものを、なぜそこまで頭が回らなかったのか不思議なものであるが。
しかし丁度1ヶ月記念に僕の部活の先輩から、コンドームを貰った。
ナイスタイミングと思いながらそれを受けた僕は、Aにセックスしたい意思を伝えた。
高校生ではラブホは使えず、作法室だと何だか落ち着かない気がして僕の家ですることになった。
母親と姉が某アイドルのコンサートに行く日、僕はAを自宅に連れ込んだ。
部屋に入るなりベッドに押し倒し、制服を脱がせた。
あのときの興奮は、たぶん人生の中でも一番のものだっただろう。
誰もいないという安心感から、いつも以上に激しく愛撫し合った記憶がある。
高校生の性欲は単純にして強大であった。
コンドームはつけた試しがなかったため、装着は笑えるほどに下手であったが、そんなことはお構い無しにAの膣へと挿入した。
度重なるペッティングの経験でAの感じる場所はなんとなく掴んでいたため、比較的上手く動けたはずである。
自分の性器を包む膣の感触に腰はがくついたし、夢中で腰を振っていたのも覚えている。
そのときの射精の快楽は、間違いなく一番のものだった。
今では考えられないほどの青春時代の思い出であり、これが本当に数年前の思い出だと思うと切なくもなる。
こんなことが起こるとは思いもしなかったが、とても貴重な体験だったと思う。